燕・三条地場産センターのウエブ見本市に参加してみました。

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使い難いのですが、これから改善されると期待しています。

都内では毎日のように、新型コロナウイルスに感染した人数が発表されています。人数の増減はありますがゼロになる日はなく、コロナウイルスの流行が完全に終了するのはまだ1、2年先になると見込まれています。多数の人で混み合う見本市では、政府が指摘する三密の状態となり、バンデミックの発生源となりかねません。このため、9月からあちこちで見本市が再開されるようになりましたが、会場でブースを開設するリアルの見本市と平行して、出店者がインターネットを通じて商談できるウエブの見本市が設定されてきています。
最近では、リアルを止めてウエブだけの見本市を開催する主催者も見かけるようになりました。今回は、新潟県にある燕・三条地場産センターが主催する「燕三条ものづくりメッセ見本市」という完全オンライン型の見本市に参加し、ウエブ上での見本市はどのようになるか、を体験してみました。
【ウエブ見本市に参加するまでの手順】
今回のウエブ見本市のトップ画面が一段目の画像です。このトップ画面から「無料エントリー」をクリックすると、二段目の来場者登録フォームに切り換わり、ここでメールアドレスや住所、氏名などを入力し、IDとパスワードを取得することになります。この画面ではリアルの見本市会場の受け付けで名刺を渡し、名札を受け取るのと同じと考えれば良いでしょう。
次いで、IDとパスワードによりウエブ見本市に入場すると、三段目のような出店者の名簿がズラズラと表示されます。キーワード検索や業種別一覧により、関心のある企業を選びます。当該の企業名をクリックすると、四段目の画像のようにその企業のページとなります。リアルであれば、この画面が見本市のブースに該当するでしょう。この画面では、その企業を紹介する動画が流れて、自社の商品、サービスを告知することになります。動画の下にはカタログ、チラシのアイコンがあり、このアイコンをクリックすると、カタログ、チラシをダウンロードできます。さらに、企業の詳細を知ろうとするなら中央のアイコンをクリックし、五段目のページに切り換えることで文字情報やホームページアドレスを表示することができます。このページで、当該企業の担当者とウエブ会議を設定することができ、ZOOMなどの通信ソフトで対話することがきます。
というように、一連の操作でウエブの見本市に参加できるのですが、この操作を理解するまでが大変でした。どのアイコンをクリックすれば次の画面に移行するか不明で、二段目から三段目のページに移行するまでに小一時間かかってしましました。新潟県の地場産業センターに二回も電話をかけてやっと理解できました。二段目のページに小さく次のページに移行する指示が表示されていたからでした。マニュアルや手順を説明していないので、他の参加者も同じように苦労したのではないでしょうか。
【ウエブ見本市の長所】
ウエブ見本市の一番の長所は、見本市会場に出掛けなくてもすむことです。交通費や食事代などは一切かかりません。特に、幕張メッセなどの遠距離の見本市では、会場に到着するまでの時間がかかっていたのですが、ウエブ見本市では時間の概念が無く、そのまま会場に入場することができて時間の節約には効果があります。
しかし、これら以外に長所があるか、と問われると全く思い当たりません。むしろ短所の方が多いように感じられました。
【ウエブ見本市の短所】
ウエブ見本市を試したところ、次のような致命的な短所がありました。
〔1〕 メールアドレスが吸い上げられる。
前述したように、四段目のページでは関心のある企業のカタログ、チラシをクリックするだけでダウンロードできて便利です。しかし、ダウンロードすると参加者のメールアドレスが当該企業に伝わるようになっていて、出店者は誰がカタログ、チラシを請求したのか判ってしまう仕掛けになっているようです。すると、後日、当該の企業からは営業のメールが度々送られてくる、という副作用がでてきます。
リアルの見本市では、名刺を渡さずにチラシだけ貰ってくることもできるのですが。その企業には関心を持たないが、後日の参考のためにチラシだけでも入手しよう、という従来の手法が使えなくなります。出店者の方は来場者を全て把握して営業に活用したい、という目的は判るのですが。
会議で商談ができる
〔2〕 企業紹介の動画を観察するために時間がかかる。
各企業のページでは、2~3分の動画で商品やサービスを説明しています。しかし、10社や20社の動画を観るだけでも累積すると結構な時間がかかります。意外と無駄な時間となります。
リアルの見本市では、出店者のブースの前に立ってチラっと商品を眺めればほぼ企業の内容は理解できます。この間の時間は数秒です。この時間差は大きいでしょう。
〔3〕 ネット会議の時間が決められている。
五段目の画像では、出店者の担当とネット会議の予約をすることができ、映像と音声で商談することができます。ただ、予約であることから、会議を開始する時刻が決められていて、その時刻にならないと商談が進められません。アイコンをクリックすると、瞬間的にネット会議を開始できるなら便利なのですが、システム上でそうならないようです。
リアルの見本市であれば、ブースの前で担当者と2~3分ほど立ち話しでき、関心の無い商品、サービスであればそのまま立ち去って次のブースに向かうことになるのですが。ネット会議は便利なようで不便です。
〔4〕 ネット会議では時間が小間割りされている。
前述したように、ウエブの見本市ではネット会議の開始時刻が設定されていて、一日に8コマの時間割となっていて、一回の会議は45分以内となっていました。すると、担当者が商談できるのは一日に8名しかできないことになってしまいます。こんな少人数の商談であっては、成果は極めて薄いでしょう。
リアルの見本市では、一日に数十人は対応できるはずです。出店費用を考えると割に合わないことなるでしょう。また、ネット会議では、出店者側には営業担当を一日中パソコンの前に待機させなければならないことになり、効率が悪いものとなります。
〔5〕 偶然の出会いを期待できない。
リアルの見本市では、出店者、来場者共に偶然の出会いがあるのが特徴です。ブースを通りかかったことで、異業種、他業界の来場者と知り合うことができます。しかし、オンラインではそのような偶然という出来事は期待薄でしょう。企業を検索する際に、キーワードや商品名で検索するようではターゲットが絞られ、視野が狭くなるでしょう。
〔6〕 今後の課題。
こうしてみると、オンラインの仮想空間による見本市では使いにくい欠点ばかりが目立ちました。しかし、今まで利用したことのないオンラインによるための不慣れによるもので、今後は改良が加えられ、使いやすくなるでしょう。今回のオンライン見本市のホームページの制作を請け負ったシステム会社でも、このようなソフトの開発は初めてなので、使い方にまでは頭が回らなかったかもしれません。
しかし、オンライン見本市のシステムが改良されたとしても、実物を見て相対で商談するリアルの見本市はこれからも根強く残るでしょう。オンラインでの見本市で商談しやすい商品、サービスとリアルの見本市で商談し易いものとに分野が分かれるかもしれません。いずれにせよ、コロナ騒動で始まったオンライン見本市ですが、使いやすくなるのはこれからでしょう。
2020年10月25日