リアル見本市はどうなっただろうか・ウエブ見本市の利用について。

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最悪のようですが、どうしようもないのが実情です。

 今年はコロナで始まり、コロナで終わったような気がします。東京都ではコロナ感染者数が毎日500人以上となっており、日にちによっては600人を越す日もあります。増加することはあっても減少することはないでしょう。7月、8月は沈静化したので、流行は落ちついたとみられていたのですが、GO TO トラベルを開始した途端にクラスターが発生し、再度の自粛要請は発せられる結果となりました。
 日経新聞などで公表している有識者からの意見では、日本経済が昨年のレベルまで回復するのは2024年以降ではないか、と予測しています。これも、有効なワクチンが開発され、全国民に抗体ができての話なのです。もしかすると、もっと時間がかかるかもしれません。
 〔リアル見本市の減少〕
 今年になって最後に出掛けた見本市は、2月にさいたま市で開催された「綾の国ビジネスアリーナ」でした。それ以降はリアルの見本市が軒並み中止となったので、観察にでかけることはできませんでした。
 8月までは自粛要請があったので、各地の見本市会場では見本市が中止されました。しかし、9月からはリアルの見本市がポツポツと開催されるようになり、東京ビッグサイト、幕張メッセのホームページではほぼ毎週のように大きな見本市の開催が告知されています。すると、リアルの見本市が従来と同じような回数で再開されたように思えますが、ちょっとしたカラクリがあって錯覚するのです。どのようなカラクリかと言えば、ホームページで公開している「イベントスケジュール」から中止になった見本市を削除しているからです。このため、スケジュールを見る限りでは順調に回復しているように見えるのですが、例年の半分以下ではないかと推測されます。これに反して、パシフィコ横浜のスケジュールでは、開催を予定していたが中止になった見本市については、その案内をそのまま残して「中止しました」と注意書きが加えられています。開催と中止の何れもを掲載しているので親切です。
 〔リアル見本市の実態〕
 さて、私はコロナに感染するのが嫌なので、再開したリアルの見本市には出掛けていません。見本市に出掛けた人からの聞き込みでは、「来場者が激減している」とのことでした。見本市の主催者の多くのは来場者数を公表していません。次回の出店者募集に影響があるからでしょう。そんな中で、ホームページで来場者数を公表している主催者もありました。公表している来場者数を昨年の人数と比較してみました。
 1、コンテンツ東京(リードエグジビジョン主催) 
   48,549人(2019年) → 21,101人(2020年)
 2、ダイエット&ビューティ(インフォマーケット主催)
   26,966人(2019年) → 12,805人(2020年)
 3、シーフードショー(大日本水産会主催)
   33,725人(2019年) →  9,426人(2020年)
 来場者は軒並み半分以下に減少しています。このままコロナ感染者が増加していくと、来年の来場者は更に減少するでしょう。そうなれば、商談を目的とした見本市の機能が果たせなくなることになり、悪循環になると思われます。
 さて、コロナの感染を防ぐためには第三者との接触を避けることにあります。すると、見本市のような他人との密着が発生するイベントは、本来ならば中止した方が良いはずです。しかし、イベント企業は中止することなく見本市を開催しています。その理由は、見本市を主催する企業は、見本市を開催することで利益を出しているからです。見本市を中止したら主催者は赤字になってしまいます。もし、1年以上も見本市を開催しなかったら、イベント企業そのものが破綻するかもしれません。批判や誹りがあっても開催を続けざるを得ないのです。
 〔来場者が減少した理由〕
 来場者が半減した理由の一番は、バイヤーがコロナに感染することを嫌がったからです。その他にも理由が重なっています。
 1、外国人の入国規制
 コロナが発生してから今年1月からは外国からの入国を拒否することになり、ビジネスマンを含めてほぼ全ての外国人の入国が規制されました。このため、見本市に来場する外国人、見本市に出店する外国人のいずれも皆無となったようです。
 2、東京への出入りを嫌がった
 コロナ感染者が一番発生しているのが東京です。このため、地方都市から東京で開催される見本市に出掛ける人が減少しました。それは地方都市独特の理由があるからです。東京に出掛けてコロナに感染したならば、地方都市では地域が狭いため感染したことがすぐに分かってしまいます。すると、コロナ患者であることで周囲の住人からは差別を受け、地元には住めなくなってしまうことにます。東京では、感染しても隣近所の人達には知られることは少ないのですが、地方であれば口コミで伝搬していくのが早いからです。
 3、決裁者が来場しない
 見本市で出店者と商談するのは、決裁権のある中小企業の企業主が多いものです。当然、企業主はある程度の年齢に達した高齢者が多く、高齢者はコロナに感染すると重症化することになります。このため、決裁権のある来場者が減少していました。

【ウエブ見本市の進化は】
 さて、リアルの見本市は回数が減少したので、それを補うためにウエブ上での仮想の見本市が開催されるようになってきました。しかし、相変わらずこのウエブ見本市は使い難いのです。事例として挙げられるのは一段目の写真で、工作機械見本市のウエブ見本市のトップページです。工作機械見本市は二年に一度しか開催されないため、関係者にとっては重要な見本市です。ここでは出店者とのマッチングを行っていますが、二段目の写真は出店者を検索するページで、ここで目的の企業を抽出します。対応する企業が見つかったな、カタログを請求できるのですが、クリックすると三段目の写真のようにポップが出てきます。出店者と名刺交換しなければカタログがダウンロードできないのです。名刺交換とは自己のメールアドレスを出店者に送ることなのですが、出店者にとっては顧客開拓のために必要な情報なのですが来場者にとっては余り嬉しいものではありません。メールアドレスを知らせると、あとから営業のメールが沢山来ることになりそうだからです。この辺の敷居が高いものであり、カタログ程度であればそのままダウンロードさせてもいいのではないかと思われます。
 四段目の写真は、徳島県が主催した「徳島ビジネスチャレンジメッセ」のホームページで、開催期間は何と11月16日から12月15日の1か月間でした。また、五段目の写真は板橋区産業振興公社が主催する「いたばし産業見本市」のホームページで、こちらも開催期間は11月12日から12月16日の長丁場でした。これだけの長期間開催するのは嬉しいことですが、要するに主催者のホームページに出店者のカタログが貼り付けてあるようなものです。これなら見本市という名目を使わず、一年中カタログを並べていてもおなじことではないでしょうか。
 六段目の写真はいたばし産業見本市で、出店者のブースの画面に移動したものです。どの出店者のブースも同じデザインであり、企業名のタイトルが変わるだけでした。
 七段目の写真は或る企業のホームページで、リアルの見本市を模したページの作りになっていました。実際の会場を撮影し、その中にアバターと商品を並べた棚を配置してありました。それらの場所をクリックすると、商品が拡大されたり、アバターが対応したりします。制作するには相当な金額と時間がかかったのではないかと思われますが、これからはこのようなウエブ見本市が主流になっていくでしょう。しかし、いくらホームページの制作が巧くなっても、やはりリアルの見本市にはかないません。
2020年12月14日