ウエブ見本市・展示会が始まった。

MimakiLiveチラシ
仮想空間での営業はどの程度の効果が見込めるのか問題です。

コロナ・ウイルスの蔓延により、感染防止のために2月以降の国内の見本市・展示会はほぼ全てが中止・延期となりました。9月からはぼつぼつと見本市・展示会が開催されるようで、各展示会場のホームページには開催予定の日程が掲載されるようになりました。東京ビッグサイトで開催予定の見本市・展示会は、従来では閑散期である11月12月までびっしりと日程が詰まっています。見本市・展示会が再開されるとなれば、この会場だけで営業をしている中小企業にとっては有り難いことです。
 しかし、見本市・展示会が開催されるとしても問題は大有りでしょう。やはり、コロナ・ウイルスに感染するおそれがあるからです。8月現在でも第2次感染爆発があり、毎日の感染者が2百人、3百人と発表されている状況下ではこれからも感染する可能性が高くなっています。従来のように見本市・展示会が盛況になるには問題が残っています。
 1、出店者がどの程度見込めるか。
 見本市・展示会では、主催者が出店者を募集して、ある程度の企業数が出店することで成り立ちます。出店した企業からは営業員を会場に派遣しなければなりません。営業員が会場でコロナ・ウイルスに感染したとなれば、企業の損失になるばかりか、雇用の問題にい発展しかねません。
 2、来場者が見込めるか。
 大規模な見本市・展示会は主に首都圏で開催されます。そこに全国の都市から仕入れのための会社役員や社員が来場し、購買の交渉をすることになります。コロナ・ウイルスの発生は首都圏が多いため、地方都市から上京した来場者が感染する可能性があります。感染した来場者が地方都市に戻ったなら、その地方でコロナ・ウイルスを伝搬させることも想定されます。これでは、地方都市にある企業は危なくて役員、社員を出張させることを躊躇することになるでしょう。
 来場者数が見込めないのであれば、出店者も出店を見送ることになり、二重の意味で会場が閑散とするのではないかと予想されます。そんなことが想定されるのであっても、見本市・展示会の開催を設定している、というのは単純にイベント企業にとっては開催しなければ死活問題にかかわるからです。何とか見本市・展示会で感染しないことを切に期待しているのですが。
 このように、見本市・展示会が再開されても出店者、来場者の何れにも危険負担があって商談できるかどうか疑問です。そこで、リアルの見本市・展示会の開催を取り止めて、ウエブ上での仮想空間で見本市・展示会を開催する主催者も現れてきました。例えば、例年9月に開催している「福祉機器展」では、今年はウエブ見本市を開催することになりました。インターネットを通じて、関心のある人がウエブの見本市に参加すると、そこでは仮想のブースがあって、クリックすることで出店者の企業にテレビ電話がつながる仕組みとなっているようです。ウエブ見本市では通信回線を通じて出店者と来場者がつながるので、コロナ・ウイルスに感染するおそれはありません。移動することもないため、北海道、九州に在住する来場者であっても、東京の企業と交渉できます。既に、見本市・展示会をウエブに変更した主催者もいるようで、それ専門のホームページもありました。
https://www.hcr.or.jp/
 また、似たようなウエブ見本市を告知するホームページも多数みかけられます。
  https://www.atpress.ne.jp/news/162883
  https://japia.imagelagoon.jp/WebExhibition/index.do
  https://www.eventbiz.net/?p=58576
 このように、ウエブ見本市はいいことずくめなのですが、始まったばかりのシステムなので問題点もあります。
 1、告知をどのようにするのか。
 ウエブ見本市を開催するといっても見本市会場があるわけではなく、単にネット上のホームページだけしかありません。特定の分野の企業に向けて、参加してもらうための告知はどのようにするのでしょうか。アナログなのですが、手紙、ハガキなどで参加しそうな企業にダイレクトメールを発送するより他に方法はないでしょう。
 最近は、ウエブ見本市についてのジャンクメールが沢山来て、メールを見るのが面倒になった、という話も聞かれます。
 2、参加してくれるであろうか。
 商品や機械の実物が見られない仮想空間でのウエブ見本市では、パソコンの画面だけで判断しなければなりません。すると、そのような仮想見本市に魅力を感じる参加者がどれだけ存在するでしょうか。実物を触ったり、動作を確認することで商品を理解できるのですから、画面だけで購入を決めるのは難しいところがあります。
 特に、味を確認しなければ商談が成立しない食品の見本市では困難でしょう。
 3、直接顧客と商談するかもしれない。
 ウエブ見本市といっても単に主催者のホームページを出店者が借りて、その一部に出店者のアイコンを掲載するだけのことです。来場者は、主催者のホームページを通じて出店者のホームページなりテレビ電話につながるだけのことになります。すると、主催者を除いて、出店者の企業と顧客の企業が直接連絡できたとすれば、ウエブ見本市は不要となる結論になります。少し頭の良い出店者であれば、自社で顧客のメールアドレスのリストを作成し、直接営業することになるでしょう。既に、Youtubeなどを利用し、直接営業している企業も見かけられます。
https://japan.mimaki.com/news/event/entry-374750.html
 ウエブ見本市には問題点が色々あるようですが、今回のコロナ騒ぎにより営業の方法を変えるという改革になるかもしれません。
2020年8月30日