モノ造りのオリンピックなのですが、年々活気が薄れていくようです。

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全国の中小企業を支援しているのですが、参加希望社が減っているのでは。

 毎年、中小企業基盤整備機構が主催する「新価値創造展」にでかけてきました。今回で11回目ということで、官製の見本市としては長続きしていて、しかも全国から出店者を募っているという珍しいものです。この見本市は以前は「中小企業総合展」と称していたのですが、2年前に改名したようです。改名した理由は不明ですが、どうもマンネリ化を避けるためではないかと思われます。しかし、看板を変えただけで中身が同じであれば、やはりマンネリ化は避けられないはずです。
 過去のこの見本市の経緯では、2005年には東京ビッグサイトの東館3ホールを借り切り、600社以上の出店者がいて会場は熱気にあふれていました。10年後の今回では東京ビッグサイトの西館2ホールと床面積は狭くなり、出店者は440社と減少しています。二段目の写真は会場の通路で、来場者は少なくてガラガラの状況でした。三段目の写真は会場の中央に開設された休憩スペースで、出店希望者が少なかったので埋められなかったスペースを休憩所に変更したのでしょう。主催者側発表で、3日間の来場者数は3万9千人となっているのですが、会場内の雰囲気ではそれ程の人数は動員していないと判断されました。各ブースでは説明員が暇を持て余していました。
 では、どのような理由で活気が無くなったか、と言えば単純に「商談が成立しない」ということでしょう。全国から東京まで見本品を持参し、会場のブースで3日間待機しても商談契約が成立しなかったら出店者は大赤字となります。すると、次回からは出店しなくなって出店者が減少し、面白い商品が出なくなる。すると、来場者も面白い商品が無くなったことで来場しなくなる、という悪循環となるのでしょう。全国のモノ造りをする企業を集めた大規模な見本市としては珍しいものなので、これだけは継続して欲しいものです。来場者を増やすための大規模な改革をする必要がありそうです。
 今年は主催者の方も来場者を増やすための工夫をしていて、会場内を「つくる」「くらす」「いきる」という3つの大きなテーマで区分けしてました。「つくる」というのはモノ造りであり、今までのように製造業者を集めたゾーンで、部品の製造や加工の下請け企業のブースが並んでいました。「くらす」は、住宅関連の設備・建材、太陽光発電などのエネルギーなどにからんだ商品を紹介していました。最後の「いきる」とは医療機器、介護用品などの福祉関連の商品を開発・製造している中小企業が集められたゾーンでした。この「いきる」ゾーンは今年から始められたようで、特殊な医療機器や検査機械を製造している地方の中小企業が出店していて、興味深いものでした。地方都市にある小さな企業が思わぬような医療機器(メス、洗浄器など)を製造していて、これからの日本のモノ造りの方向性を示しているようでした。
 会場内には4段目の写真にあるように「インキュベーション企業コーナー」というゾーンも開設されていて、研究開発型企業?が集められていました。これから成長する分野の企業を集めた、というのらしいのですが、それらの製品はショボイものでした。私が何時も感じるのですが、未来型商品開発企業とか先端商品開発企業という触れ込みで活動している企業は現実を見ていないのではないかと思われます。少しでも売れるような商品を開発してもらいたいものです。
 五段目、六段目の写真は携帯型燃料電池を開発した企業のブースで、粉末になった素材から水素を発生させ、酸素と結合させることで発電できるのだそうで、防災のための緊急電源に最適なのだそうです。しかし、40時間は発電できる能力があり、その出力は30Wで、価格は50万円ということです。懐中電灯くらいの出力しかない予備電源に50万円とはすこぶる高い価格設定です。本気で売る気があるのか疑問でした。
2016年1月23日