日本の富裕層を調査したものです。


真の富裕層は表に出て来ないのではないでしょうか。

 日経ビジネス誌12月10日号で、「富裕層の正体」とタイトルした特集が組まれました。ここに、私のインタビュー記事が掲載されています。私が原稿をまとめたのではなく、インタビューされて話した内容を記者がまとめたものです。ご笑読下されば幸甚です。
 この特集では、日本の富裕層の実態を解明し、どのようにして裕福な家庭の消費を高めたらよいか、を考えるのがテーマとなっています。現在、国内の消費は冷え込んでいて、流通業では富裕層をどのように開拓し、消費させるか、が課題となっているようです。このため、最近は富裕層を調査した特集があちこちの雑誌に掲載されています(例えば、週刊ダイヤモンド誌、10月20日号など)。
 私がインタビューされたのは、過去に中小企業主を取材してきた体験があり、富裕層を把握しているのではないかと考えたようでした。記者の最初の企画案は、「金持ちはどんな贅沢な生活をしているかをまとめてみたい」というような内容でした。しかし、私が過去に出会った成功したニッチ企業主の日常は質素なものであり、目立たない生活ぶりでした。その体験を伝えると、若い記者は当初の思惑とは違っていたようで、理解不能な顔をしていました。記者は先入観で金持ちの実生活を想像していたようで、豪華な生活を想像していたようでした。
 出来上がった特集は最初の企画案とは違って、「富裕層は質素であり、堅実な生活をしている」という内容に変わってました。記者があちこちのコンサルタントから聞き込みした結果、富裕層の実態が分かったのでしょう。
 日経ビジネス誌の今回の特集では、金持ちの生活と信条、行動範囲などが比較的良くまとめられていました。それでもどこかトンチンカンな内容でした。記者はサラリーマンであり、富裕層の家庭内にまで入り込んで実生活を見聞したわけではなかったからでしょう。しかし、マスコミにより富裕層の実態が歪められて表現されると、それがあたかも本当のように歩き始めるので、いささか怖いところがあります。しかし、日経ビジネス誌の読者の殆どがサラリーマンであるので、ストーリーとしてはこの程度で十分ではないでしょうか。特集を読んだサラリーマンの多くは、「こんな余裕のある生活ができる金持ちになりたいが、一生かかっても叶わないだろうな」と感想するのではないかと予想されます。雑誌なので夢を語ればそれで十分なのです。
 また、富裕層が同誌を読むと、「私と同じ程度の資産のある人達はこんな生活しているのかな」とか、「我々、富裕層の実態とは相当かけ離れた記事だな」という感想が多いのではないでしょうか。、実際の金持ちや成功者は経済雑誌を信用していないので、苦情もでないでしょう。
 まずは、特集のご案内まで。