見本市・展示会の中止

ビッグサイト 横浜 幕張
新型コロナ・ウイルスによる影響は深刻になりました。

 昨年12月に中国・武漢市で発生した新型コロナ・ウイルスは瞬く間に世界に拡散し、世界中で感染患者が続出するという大事件となりました。感染しただけならいいのですが、通常のインフルエンザに比べて悪質で、死亡者も続出しています。中国では3千人以上、イタリアでは4千人以上の死者が発生しました。1月末までは中国国内での出来事と楽観視していたのですが、自国の国民にまで感染が広がるとなれば一大事です。このため、各国では出入国禁止の措置をとり、世界的に鎖国状態となりました。このあたりのことは毎日の新聞、テレビで伝えられているので、細かいことは省きます。
【見本市・展示会が急遽中止となる】
 このウイルス騒動(騒動ではなく、国家の非常事態です)により、集会、イベントの中止要請です。まず、影響を受けたのがコンサート、スポーツ大会なのですが、見本市・展示会も同様です。内外から多数の来場者が参加するイベントなので、政府、東京都から自粛の要請があり、次々と中止の告知がされています。
 1段目の写真は東京ビッグサイトのホームページで、3月に開催される見本市・展示会は掲示されていません。東京ビッグサイトでは、中止、延期となった見本市・展示会はホームページから削除されるため、イベント予定欄は空白となっていました。2段目の写真は幕張メッセのホームページであり、こちらのイベントの案内にはそれぞれ開催中止の赤字が記入されていました。3段目の写真はパシフィコ横浜のホームページであり、こちらも開催中止の案内が続出しています。パシフィコ横浜では医療系のシンポジウムや大学の入学式に使用されることが多いため、これらのイベントは全て中止となってました。
【出店者・主催者への影響】
 見本市・展示会が中止となると、影響を真先に受けるのは見本市・展示会でのみ商談を行っていた中小企業となります。年一回の商談会で一年分の商談をまとめる企業が多いため、見本市・展示会が中止されるとこれから一年間分の受注が出来なくなります。生産予定が立たず、死活問題につながるのは目に見えています。
 次に影響が発生するのは主催者の方で、見本市・展示会が中止されると、会場の使用料の支払いが残っています。また、会場設営の業者への支払いも発生します。このため、開催しなければ大赤字となってしまいます。
 それより前に、見本市・展示会が中止となった場合では出店者と主催者の間で金銭的な問題が発生します。すなわち、出店料の返金があるかどうかです。出店者が自らキャンセルすればキャンセル料を徴収されます。しかし、開催直前になって主催者が中止した場合の返金がどのように処理されるかです。出店者は既に主催者にブースの使用料や設営費を前払いしてあり、中止となればどの程度の返金が期待できるか、です。
 ウイルスの拡散が予想されたため、多くの見本市・展示会が中止になりました。しかし、2月末の幕張メッセではリードエグジビションが主催する「日本ものづくりワールド」が開催されました。感染を恐れて出店者や来場者が激減したので、批判を浴びたようです。このため、リードエグジビジョンは4月以降の見本市・展示会は中止か延期に変更したようです。
【オリンピックの延期による影響】
 世界でウイルスがさらに蔓延していくため、3月24日にはとうとう東京オリンピックの開催が1年延長になると発表されました。オリンピックの延長は、見本市・展示会に大きな影響を与えることは間違いないことになりました。
 まず、今年に予定されていた東京オリンピックでは、東京ビッグサイト、幕張メッセ、さいたまアリーナなどの会場はオリンピック委員会により使用されるため、7月から9月までの間は見本市・展示会に貸し出されませんでした。このため、主催者は10月以降に開催するように日程を変更したり、規模を縮小しています。来年の2021年に会場を借りるように計画を立てていました。
 しかし、来年にオリンピックが開催されると会場の貸し出しがオリンピック委員会に優先されるため、オリンピック開催期間中は見本市・展示会が開催できなくなることになります。玉突きのように会場が使用できなくなるため、場合によっては2年間開催できなくなる見本市・展示会もあるかもしれません。資金的に体力の弱い主催者であっては、この間に破綻するかもしれません。主催者にとっては大変なことになりました。
【ウイルス騒動はいつ収束するか】
 さて、毎日のようにウイルスに感染した患者の人数や死亡者の人数が発表されるのですが、何時になったら沈静化するのでしょうか。現状では誰も予測できません。それは、ウイルスに対する抗ワクチンが未だ開発されていないからです。ウイルスの伝搬が鎮静するのは安全なワクチンが完成してほぼ全国民に接種されてからでしょう。
 過去の事例から考察すると、ウイルスの伝搬は1年以上続くかもしれません。1918年に発生したスペイン風邪の流行は、実は3回の山があったのです。1918年春、1918年秋、1919年春のそれぞれでした。現在のウイルスも同じように3回の山があるとすれば、2020年秋、2021年春にも大流行するかもしれません。すると、予定されていた東京オリンピックが中止となった後の10月以降でも、ウイルスが伝搬しているため秋以降の見本市・展示会も中止か延期となるかもしれません。運良ければ今年の夏にウイルスの蔓延が納まるでしょうが、感染が続くなら今のうちから対策を立てなければならないでしょう。そうならないことを祈っています。
2020年3月26日