大企業が得意な分野と中小企業でなければならない分野があります。

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介護用品の需要があるといっても、大企業を同じ土俵では戦えないのです。

 一段目の写真は、「国際福祉機器展」に毎年出店していいる松永製作所です。この企業は車椅子では日本のトップの専業企業です。今年出品されたのは二段目、三段目にある合成樹脂製の車椅子です。この車椅子は金属を一切使っていないため、飛行機の搭乗でボディーチェックの検査器具に反応しないものです。障害者が搭乗する際に、この車椅子を試用することで健常者と同じように検査器具を通過でき、機内に入る前に後部と分離して幅を狭くして飛行機の通路を移動できるというものです。ホイールからシャフトまで全て樹脂製なのは驚きです。
 実は、数年前に飛行場の検査器具を通過できる車椅子を開発した中小企業がありました。その会社は木工を専業としており、自社の木工加工技術を応用し、全て木材を使用した車椅子を製造したのです。木製であることから飛行場の検査器具には金属反応をしない、というメリットがあるため、地方空港に採用されたというニュースが出ていました。松永製作所の樹脂製車椅子を同じコンセプトなのですが、中小企業であるため製造コストが高く、手作りのため製造台数も限られているようです。松永製作所が同一目的の車椅子を販売したことにより、木工会社の木製車椅子は販売できなくなるでしょう。アイデアは良いのですが、大企業が得意とする分野に中小企業が進出してはいけない、という事例ではないでしょうか。
 四段目の写真は、車椅子バスケットなどのスポーツ用車椅子を製造しているブースに集まっている障害者です。スポーツ用の車椅子は殆どが特注であり、障害者の要望によって製造されていることが多いのです。それでは、このような見本市に障害者が来場するのか、と言えば、障害者とメーカーが接触する機会が少ないのです。障害者がわざわざ来場してみないと、どのようなメーカーがどのような製品を製造しているのかが判らないのです。つまり、障害者支援用の製品は数多くあるはずですが、それらの情報が障害者に伝わらないのです。障害者支援のための製品をコンサルタントする業者が出てきても良いのですが、現状ではそのようなコンサルタントに報酬を払うような制度がありません。このような不便を何とか解消して欲しいものです。
 五段目から七段目の写真は、体力の弱った被支援者を起き上がらせるための補助具です。寝ている状態から立ち上げる状態までをモーターによりスムースに変化させることができます。残念ながらスエーデン製でした。
2016年10月18日