宗教用具はほとんどが手作りなのです。
今年の「徳島唐木仏壇見本市」では、仏壇に関連する各種の商品の製造工程を実演するコーナーが多数見かけられました。日頃は見かけることができない作業であり、参考になりました。
一段目の写真は仏像を製造する業者のブースで、京都の工房を持つ業者が出店していました。仏像を製造する業者は、「仏師」と呼ばれ専門性の高いものです。現在、仏壇小売店で販売されている仏像のほとんどは中国製であり、数百人規模の工場で分業制で制作されています。国産の仏像は、一人の仏師が最初から最後まで製造を受け持ち、工芸性が高く、価格も高いものです。台座には仏師の氏名が彫り込まれているのが特徴です。
仏師が使用する彫刻刀は数百本もあるそうで、使用目的、素材により使い分けているとのことでした。
会場内には塗り師のブースもありました。木質の仏像に色彩を塗っていくのですが、これも色々と約束事があるそうです。ペンキは数十種類を用意していましたが、塗り師によって好みの色が違うので、原料を混ぜ合わせて瓶に入れているのだそうです。どうりで、瓶のフタには何の色であるか表示されていませんでした。空の瓶に自分独自の配合で混ぜたインクを使っているとのことでした。
六段目の写真は数珠を展示してあるブースですが、その傍らで数珠を制作している人がいました。単純に穴の開いた玉を糸で繋いでいけば数珠ができるかと思ったら、数珠には房が必要であり、糸を寄り合わせて房を作ってから玉を繋いでいくのだそうです。これも手作業でなければできず、大量生産はできないものでした。
2016年6月7日