高度な技術力のある企業が目立ってました。

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都心から離れていても、技術は決して低いものではありません。

たま工業交流展には三多摩にある中小企業が出店してましたが、技術力が高いものでした。技術力の高い中小企業がいる地域として、マスコミでは必ずといっていいほど大田区を取り上げますが、これは偏見ではないでしょうか。大田区以外の地域であっても先端技術を持つ中小企業は多く見られます。大田区、イコール技術力のある中小企業の集団、というのはマスコミが勝手に作り上げたイメージです。
三多摩に技術力のある中小企業が発展したのは、戦前の航空機産業が立川付近に発生したことが理由ではないかと思われます。しかし、大田区ほど有名にはならなかったのは、地元には有名な大手のメーカーが存在していなかったためでしょう。大田区には、キャノン、ニコン、NECなどの大手企業が多数あり、それらの大手企業が大田区にある中小企業を下請けにしました。大手企業のブランド力により、大田区の中小企業も技術力がある集団として知名度が上がったのではないかと思われます。
多摩地区には独特の技術のある中小企業もあり、一段目の写真の出店社は拡散接合という技術を展示していました。金属同志を高温高圧で密着させることにより、接着剤を使わずに接合できるのだそうです。国内では数社しかその技術を持っていないと自慢していました。二段目の写真の手前にあるのはエッチングで網目を加工した50ミクロンの薄板で、それらを50枚重ね合わせて拡散接合したのが奥にある厚さ2.5ミリの加工品です。どうも、燃料電池自動車の水素のフィルターに利用されるようです。
三段目の写真は、精密金属加工の技術を展示したブースでした。放電加工により厚い鉄板に四角い穴を開け、そこに四角い棒を差し込んでいます。両者の隙間は0.01ミリに調整してあるため、指で棒を押すとユックリと穴に入り込みます。ここまで表面加工を精密にできるという説明のためでした。
四段目の写真は、風力、風向、雨量、温度などを一か所で測定できる装置です。残念なことに、日本製ではなく中国製でした。しかし、その価格が3万円ということに脅かされました。これ1つで気候に係わる測定が全てでき、その測定値は電気信号として出力できるのです。農家が、離れた場所にある田畑や山林の状況を検知するには最適です。
五段目の写真では何やら老人が説明していましが、その机の上にあるのは六段目の写真のように古ぼけた基盤ばかりでした。この会社は古くなって製造元では修理できなくなったNC工作機械や産業機械の電子回路を修理、保守するのだそうです。工作機械などでは、20年30年と使い続けているものが多くあります。すると、製造メーカーが無くなったり、補修部品が無くなり修理不能となることがあります。工作機械そのものは頑丈で使い続けることができるのですが、電子回路が補修できないため困ってしまう企業も多いものです。この会社は昔の電子部品を多数用意しており、制御回路の基盤を補修してしまうのだそうです。故障した基盤の部品を全て撤去し、新しい部品を搭載して調整するのです。こんな商売もあるのです。
七段目の写真は、今は珍しいファイル選択装置です。キーボードで番号を入力すると、対応するファイルが飛び出してくるものです。その昔は病院などでカルテの管理に使用されていました。国内で生産しているのはこの会社だけ、とのこと。ファイルを簡単に管理できるので、今でも自動車学校の生徒管理のための需要があるのだそうです。この手の機械はレトロ技術であり、どこかで必要とする人がいるのです。
2015年3月11日