介護業界は大企業による寡占化が進んでいました。

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中小企業では容易に参入できないビジネスとなっています。

 介護施設や介護士のための「国際福祉機器展」に出掛けてきました。この見本市は毎年入場者数が増えていて、盛況です。また、会場も第一ホールから第六ホールまでの全てのホールを借り切って広く、出店者数は585社となって巨大なものです。一日では全て回りきれず、二日以上をかけないと丁寧には見学できません。この見本市が盛況な理由は簡単なことで、被介護者が増加していることです。高齢者は年々増加し、介護施設を増築しても間に合わないのが実情です。また、介護保険が適用されることになったため、社会保障に関する予算も増加しています。このため、介護ビジネスに参入する企業は大小を含めて増加していて、このような見本市で新規な商品や機材を購入する企業が多くなってきたこともあります。
 二段目の写真は会場内の風景ですが、どの通路も人で溢れていました。介護施設で働く人達や介護関係の学校の生徒などで混み合っていて、各ブースで熱心に説明を聞いていました。来場する人達は若い人達ばかりではなく、自分で機器を購入する高齢者も多いものです。このため、会場のあちこちには休憩用の椅子が多数並べられ、三段目の写真にあるようにここで休息してみえました。こんな風景は高齢者を対象とした見本市ならではのものでしょう。
 各ブースでは来場者に理解できるように、工夫した設備が設置されていました。四段目の写真は便器のTOTOのブースで、説明員はヘッドマイクを使用して音声がきれいに聞こえるように放送していました。また、商品の上には大型モニターが設置され、説明員の手先などを拡大して放映していて、ブースから離れて位置でも理解できるようにしていました。その音声・映像を処理する舞台裏は五段目の写真で、ブースの裏側には調整卓が設置され、音声・映像を最良の状態で流すことができるように調整していました。昔のように、説明員がマイクで拡声するだけでは高品質の説明はできないのです。AV専門の技術者による高度な調整がなされなければ、明瞭な音声・映像を流すことはできません。ブースも以前に比べると細かい細工が必要となっています。
 最近の国際福祉機器展を観察すると、大企業の進出が盛んとなり、中小企業の出店が減少しているように思われました。六段目の写真はビシャモンのブランドで自動車用リフト機を製造している「スギヤマ」のブースであり、七段目の写真はモルテンのブランドでバレーボール用ボールを製造している「モルテン」のブースです。八段目の写真はハートグリーンのブランドでユニフォームを専門に製造している「カーシーカシマ」で、中堅のアパレルメーカーです。15年ほど前の会場には、地方の中小木工所や鉄工所などの出店も見かけられたのですが、現在ではそれらの中小企業の出店は見かけられなくなりました。介護ビジネスにも大資本の企業の進出が激しくなり、中小企業は一掃されたのです。
 それでも、まだ中小企業が出店しているブースもあり、九段目の写真は椅子付き買い物バッグを展示するブースで、十段目の写真は便器付き椅子を展示するブースで、これらは大企業が参入するような分野ではありません。しかし、これらの軽工業品を販売している企業であっても、業界ではトップクラスの介護専門の業者であり、資本力は十分にあります。要するに、資本力が無く、特異性が無い中小企業は介護用品業界からは排除されているのです。これから介護ビジネスに参入しようとする中小企業は、特別に優れた能力が必要とされるはずです。
2014年10月13日