生ゴミ処理機。

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生ゴミ処理機・ブログ用
理論的には理想の商品ですが、問題があります。

① 製品の内容。
生ゴミ処理機とは、家庭や食品工場などから廃棄される生ゴミを微生物(細菌、バクテリアなども含む総称)により水と炭酸ガスに分解して処理する装置のことである。バイオ分解機とも呼ばれることもある。中小企業総合展や産業廃棄物専門の見本市である環境展などでは必ず出品するメーカーを見かけることができる。
家庭で排出される生ゴミや食品工場で調理されずに廃棄される食材カスなどの食品残渣は毎日膨大な量にのぼる。従来から、これらの食品残渣はゴミ回収車で回収され、清掃工場などで焼却処分されていた。水分の多い生ゴミを重油などで焼却させるため、膨大なエネルギーの浪費である。
食品残渣を微生物により発酵させて分解すれば、炭酸ガスと水に変化でき、容積は小さくなり、残った残留物は堆肥や土壌改良剤として利用することができる。微生物で生ゴミを分解(発酵)させる理論は昔から知られたことであり、特に目新しいことではない。微生物により分解させると殆どエネルギーの消費は無くなり、堆肥や土壌改良剤は農家や家庭菜園などで肥料として活用でき、食品リサイクルの循環ができるという誠に良い話である。
② 製品の構造。
生ゴミ処理機は極めて単純で、どのメーカーの製品でもその内部構造はスケッチで示すようなものとほぼ同じである。この構造では、断面がU字形をした攪拌槽の中央に水平となるように回転軸が通してあり、回転軸の複数箇所には四方に延びた攪拌羽根が固定してある。回転軸の一端には回転軸と攪拌羽根を回転させるモーターが連結してある。攪拌槽の下面には電気で熱を発生させるヒーターが密着させてある。攪拌槽の内部には、おが屑、木材チップ、籾殻などの粒子材料から成る菌床を収納してあり、菌床には種菌(複数の微生物を混合したものが多い、バイオ菌、分解菌とも呼ぶ)を投入してある。
また、攪拌槽が垂直な円筒形で、その中央に回転軸を垂直に配置した構造の生ゴミ処理機も見かけられるが、機能はこのスケッチの構造と実質的に同じである。
このような構造の生ゴミ処理機では、攪拌槽に生ゴミを投入し、モーターを作動させると回転軸、攪拌羽根が回転する。すると攪拌羽根は菌床と生ゴミをかき混ぜ、種菌を生ゴミに均等に付着させて発酵させる。菌の繁殖により、生ゴミは水と炭酸ガスと分解されることになる。菌床の温度が低いと種菌が繁殖しないため、ヒーターにより攪拌槽を加熱して一定の温度となるように調整している。
③ 処理能力。
各メーカーから発売された生ゴミ処理機は、理論的には微生物は生ゴミを分解してくれるはずだが、思ったような成果が出なかったようだ。その理由は色々あるが、説明は省略する。この製品に新規参入する企業は複数の問題点を知らない地方の小さなメーカーがほとんどである。では、生ゴミ処理機の分野に毎年新規企業が進出してくるか、と言えば、参入の敷居が低いからである。生ゴミ処理機の構造は簡単で、鉄板の加工や溶接ができる程度の能力がある鉄工所であれば誰でも製造できる。一攫千金を目論んで試作品を製造したのであろう。

④ 大手家電メーカーが参入しない。

生ゴミ処理機は、生ゴミを水と炭酸ガスに分解できる理想の装置であるが、国内にある大手家電メーカーは参入していない。現在、大手家電メーカーでは「生ゴミ減容機」と称する製品を販売しているが、これは生ゴミを熱風で乾燥させて容量を減少させる商品であり、「生ゴミ処理機」とは原理、構造が全く違うものである。

しかし、多くの欠陥を抱えた生ゴミ処理機をいまだに発売しているメーカーが存在している。その理由は、補助金がからんでいるからではないかと推測される。

⑤ 産業廃棄物処理業者による処理。
なお、巨大な処理工場に生ゴミを集め、フォークリフトで菌床をかき混ぜながら生ゴミを発酵分解させる専門の業者は現実に存在し、産業として成り立っている。生ゴミを発酵させる原理は同じであるが、廃棄物処理の専門業者では、熟練した作業員により温度、生ゴミの種類、発酵状況を常時監視しながら処理しているためである。

この続きは拙著「くたばれベンチャー」をお読み下さい。

kutabare

タイトル 「くたばれベンチャー!モノづくりニッチで起業」

出版社  株式会社秀和システム
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2014年7月28日