中小企業の商品開発はアイデアが大切なのですが?

15itabasi0715itabasi06 15itabasi08 15itabasi09 15itabasi10
世の中に無い商品を開発する心掛けは大したものですが、結果が重要です。

 始めて訪問したいたばし産業見本市ですが、ここで私が始めて見る新商品がありました。それぞれ中小企業が開発・製品化したものです。これから社会に認知させて販売していくのですが、民間経営の見本市などに出店するとベラボーな費用がかかります。そこでこのような公共団体などが主催する無料か無料に近い見本市に出品してお披露目するのです。しかし、私から見ても売れ行きがどうかな、と考えさせられる商品が目立ってました。中小企業が開発する商品はアイデアが一番大切なのです。
 一段目の写真はトイレットペーパーホルダーですが、引き出した先端の両側が折り畳まれていて三角形になってます。ホテルなどのトイレでは、清掃したという証拠にメイドがトイレットペーパーの両側を折り畳んでいます。ペーパーが取り出しやすく、気持ちのいいものです。この機械では、そのペーパーの折り畳みを自動で行ってしまうものです。二段目の写真にあるように、ペーパーを引き出して引きちぎると、内部でモーターが作動して自動的に両側を折り畳んでくれます。精密に製造されたペーパーホルダーなのですが、価格が10万円以上するらしいのです。これだけ高額のホルダーをホテルの客室全てに取り付けるかどうか疑問です。また、一般家庭でもペーパーを折り畳むだけの機能にこの金額を支払うか問題です。アイデアとしては素晴らしいのですが、マーケットでの需要を考慮していなっかようです。
 三段目の写真は紙とプラスチックを混合して加圧し、紙皿などに加工した商品です。主成分はパルプなのでそのまま廃棄でき、焼却処分できるという解説でした。なるほど環境保護には良好なのですが、価格が高いのです。1皿300円ほどしてました。これなら百円ショップで陶磁器のお皿が買えます。
 四段目の写真は封筒なのですが、中央にセロファンでカバーされた窓があり、ここにスナップ写真を挿入して郵送できるものです。受け取った封筒は同封してある紙の台座を折り曲げて写真立てとして鑑賞できます。しかし、単価が150円程度と高いのです。わざわざこの封筒を購入して郵送する人は少ないでしょう。また、販促品として無料で配付するのであれば、それなりのシステムを構築しなければなりません。特殊な封筒だけのために販売ルートを構築するのは難しいのです。
 五段目の写真では説明がややこしいのですが、商店、飲食店などにブルートゥースを発信できるタブレット(写真に見えるもの)やパソコンを置き、それを商店、飲食店の宣伝のための情報を発信させようとするシステムです。一般の人が持つスマートフォンに自社開発したアプリをインストールし、スマホのブルートゥースをオンにすると、その商店、飲食店の前を通りすぎる際に発信された特売、お勧め料理などの情報を自動的に受信できるというものでした。理屈は私でも理解できるのですが、従業員30名ほどの中小企業がこのようなシステムを売り込むのは無理があるはずです。アプリそのものの開発は比較的安いのですが、顧客となってくれる商店、飲食店などをどのように開拓していくか、顧客となった商店、飲食店などの情報を誰がどのようにしてサーバーに蓄積していくかなどの問題が山積みしています。このような情報機器を利用して情報発信サービスをするのは大手の広告会社やパソコン販売会社でなければできにくいのです。
 説明していた人は、「地元板橋の商店街に交渉し、商店街にある店舗を顧客にしてみせます」と力説していました。地元の商店街を顧客にしたとしても、そこを通りすぎる消費者が持つスマホのブルートゥースを常時オンにしなければなりません。消費者がそんな面倒なことをしてまで商店街の情報を必要としているとは思われないのですが。
2015年11月14日