ブームなのですが新規の参入は極めて難しいはずです。
中小企業向けの見本市や省エネに関する見本市には、毎年のようにLEDの照明器具を利用した家庭用の野菜栽培器が出品されている。野菜栽培器は水耕栽培の一種であり、土を使わずに液肥を使って野菜を育てるもので、太陽光を使わずにLEDの照明光で育成できるものである。密閉された屋内で温度や照明時間を調整して野菜を育てることができるので、天候に左右されずに安定して生産でき、無農薬の農業が可能となる。農地法の規制を受けることがないので、誰でも農業を始めることができるなどの利点がある。水耕栽培そのものは昔からある技法であるが、急に脚光を浴びてきたのは2008年に農林水産省と経済産業省とが共同で「農商工連携植物工場」の構想を立ち上げて、野菜の工場生産が補助金の対象となったことである。このため、家庭用の野菜栽培にも需要があるのではないか、と考えた中小企業主が続々と新商品を発表するようになった。
一段目の写真は、金属ラックの上下にトレーを搭載し、トレーの上にLEDランプを固定したものである。市販製品を集めて組み立てたもので、試作の原価は安いと思われる。二段目の写真は、水盤の両側からアーチ状に支柱を固定し、アーチの水平部分の下面にLEDランプを組み込んだ構造であり、植物の鑑賞にも利用できるものである。三段目の写真は、市販の収納ボックスの内部にトレーとLEDランプを組み込んだもので、閉鎖した空間の中で野菜を育てるため温度を一定に保つことができるというものである。四段目の写真では、キットのような商品で、トレーと照明器具が別々になっていた。
家庭用の野菜栽培器では、大きく分けて、野菜を保持するための皿状となったトレーと、トレーの中に敷く砂利やマット、液肥を循環させるポンプ、照明用のLEDランプで構成されている。これらの部材はホームセンターなどで容易に入手することができ、それほど高度な技術が無くても組み立てることができる。
家庭用の野菜栽培器の分野はニッチでもないため参入は諦めた方が好ましいが、業務用では立派な産業となっているのは現実である。五段目の写真は、大手商社の興和が販売している野菜栽培器である。この製品はレストランや飲食店向けに開発されたもので、店内で野菜を提供するために利用されている。筐体のデザイン、材質も優れていて、実用に十分耐えるものである。六段目の写真は、電気部品を製造している中堅の企業が出品しているものであり、この企業は野菜栽培器を販売しているのではなく、LED照明の制御回路や温度調整の技術を販売するのが目的である。七段目の写真は、ウシオ電機が出品している野菜栽培器である。この会社も野菜栽培器を販売するのが目的ではなく、栽培器に使用されるLEDランプを販売することが目的なのである。
この続きは拙著「くたばれベンチャー」をお読み下さい。
タイトル 「くたばれベンチャー!モノづくりニッチで起業」
出版社 株式会社秀和システム
定価 1500円(税別)
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2014年8月6日