目のつけどころがいいでしょう。

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アナログとデジタルをつなぐ商売です。


 従来の日本の木造住宅では、寿命は30年と言われてきました。造っては壊し、造っては壊しの歴史だったのでしょう。こんなことでは環境問題に悪く、不経済なことであるため、国土交通省では「百年住宅構想」を打ち出しました。優良な中古住宅を増やし、中古住宅の流通を盛んにすることで省エネ、省資源を図ろうとするものです。欧米では昔から行っていることで、今ころになって政策を変えるのは遅すぎるかもしれません。今までの政府の方針は建て替えにより建築業界を活性化させることだったのでした。高度成長期には建て替え需要が大きかったのですが、こんなご時世では中古の住宅を大切に使い、長持ちさせるのが常識となってきたのです。
 ただ、中古住宅を流通させるといっても、建築、修繕の経過が判らないような中古住宅を購入するには二の足を踏みます。そのため「長期優良住宅制度」を開始し、建築図面、修繕経過などの住宅履歴を適法に記録し、その履歴によって中古住宅の価値を判断させようとすることになりました。
 さて、見本市の会場の中には一段目の写真のように、赤い箱を並べたブースがありました。何だか業務がよく分からないので、説明員に聞いたところ、この会社が住宅履歴を保存する代行をするのだそうです。図面、施工手順などの住宅履歴に関する資料全てをこの赤い箱に入れ、この会社に送るとスキャナーで資料を読み取ってデジタルデーター化して保存してくれるのだそうです。紙などでの資料保存では場所をとり、検索するのが大変です。そこで、この会社は紙資料からデジタルデーターに変換し、インターネット上で検索できるように加工してくれるのだそうです。
 中古住宅の流通に必要な住宅履歴を個人や工務店が保存するのは大変なことです。もしかしたら紛失や焼失するかもしれません。その不便さをこの会社が解消してくれるのだそうです。政府の法律改正をうまく利用した新ビジネスだな、と感心していました。法律が変わるとその度に新しいビジネスが生まれていくようです。
 ただ、問題なのは、この会社が保存したデジタルデーターが何時まで保存できるか、です。百年後もデーターが記録されて残っているか、或いは、ソフトウエアの変化により百年後にそのデーターを読み取ることができるか、などです。コンピューターの世界の進歩、変化は激しいので、長期のデジタル保存がどこまで可能なのかは未知数です。将来の安全を考えたら、デジタル化すると共に元の紙資料も保存するべきではないでしょうか。
2009年7月21日