いつも見かける売れない新商品

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防災関係の見本市には毎年のように見かけます。
開発した人は見本市で他社が出品しているのを研究しなかったのでしょうか。


7月に、東京ビッグサイトで「自治体総合フェア」と「モダンホシピタルショウ」という異なった見本市が同時に開催されてました。2つの見本市に全く同じ商品が展示されていました。それは段ボールで作られた「簡易便器」で、災害などの非常時に組み立てて使用するものです。段ボールを折り曲げて立体形に組み立て、内部にビニール袋を入れ、上面に便座となる段ボール板を被せるものです。何れの出展者も「オリジナルの新製品で、これから大々的な販売をしていきます」と力説していた。
しかし、このような簡易便器は、毎年のようにあちこちの中小企業から防災用品として開発されているもので珍しいものでもなく、有効性のある商品ではありません。全く失敗の商品開発と言えます。どうしてこのような商品が毎年のように出品され、消えていくのでしょうか。それは、開発する人(会社)の勝手な思い込みが大きいからです。
まず、このような防災商品を買ってくれる人はいません。便利そうなのですがいざ災害の時までにどこにしまっておくのでしょうか。ビニール袋に投入した屎尿は誰が、どのようにして処理するのでしょうか。一見すると有用な商品と思うのですが、よくよく考えてみると不思議な商品です。実際に災害が発生したらこんな玩具のような便器では使い物になりません。阪神大震災のときは下水が詰まってしまい、町のあちこちに野糞の山ができていたそうです。もし、このような商品を購入してくれるとしたら、地方自治体の防災関係部門でしょうが、そこでも一回購入したら二度と新規に購入してくれません。
このような大外れのアイデア倒れの商品が、毎年のようにどこかの中小企業から発表されるのは、思いつきで開発されるからでしょう。また、段ボールを加工するだけのため、開発費用が安価であることです。簡単に手が出せるため毎年のように防災商品フェアに出展されることになるようです。
なお、上段の写真は70歳位のおばちゃんが商品化したもので、私が「こんな商品は売れないから止めた方がいいよ」と忠告したところ、大変激怒してました。開発した側からすればこれで大儲けできると考えたのでしょう。
繰り返して言います。『こんな商品は絶対に売れません』
2006年7月19日