国際福祉機器展に必ず出る商品は

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ポータブル便器は介護用品の目玉なのですが。
便器を扱う家族や介護士にとっては悪臭の問題が。


 介護用品の見本市に出掛けると、目立って出品されているのは『車椅子』『ポータブル便器』『障害者用浴槽』である。私はこれを福祉機器三点セットと呼んでいる。これらの商品については数多くの中小企業が参入し、それぞれが工夫した介護用品として商品化、試作品化を図っている(売れるかどうかは別にして)。考えてみたら、『移動、排泄、入浴』というのは生活するために欠かせない習慣であり、これらの商品は介護のための必需品となっているからだ。同時に、これらの介護用品はそれほど高度な技術がなくとも製造することができるため、中小零細の企業であっても参入できる、と錯覚しやすい。このため、ポータブル便器でも色々な企業から商品が出品されていた。
 ここで問題なのは、ポータブル便器を開発した企業はその便器を使用する人の立場を考えていないことである。どの企業も椅子の中央に丸穴を明け、その下に排泄物のタンクを取り付けた構造のポータブル便器を製造している。さて、このタンクに投下された排泄物はだれが処理するのであろうか。タンクを洗浄する時に臭う排泄物の悪臭はだれが嗅ぐのであろうか。それは家族や介護士であるが、他人の排泄物を処理するのは嫌な作業であることは間違いない。単に椅子にタンクを取り付けただけのポータブル便器では、使う人の立場を考えていないのである。誰か、根本的な問題を解消したポータブル便器を開発して欲しいものである。
 上段の写真は排泄物からの悪臭を防ぐための装置である。おむつが外気と接触しないように、排泄物が付着したおむつをビニールで密封することができる。装置におむつを投入するまでは臭いが出るが、ビニールで封鎖してしまえばそれ以降は臭いが出なくなる。おむつはビニールごと焼却すればよいことになる。ビニールを消耗するのが少し欠点だが、介護する人の身になってみれば、有り難い機械である。
 下段の写真は典型的なポータブル便器である。シンプルと言えばシンプルなのであるが、似たような構造の商品はあちこちのブースで見かけられた。誰でもが思いつき、誰でもが製造できる構造である。もう少し工夫して欲しいものである。
2005年10月6日