NEW環境展で見た商品

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毎年のように新しく出展されるコンポスト型生ゴミ処理器です。
だれも成功すると考えているようだが、これは売りにくい商品です。


 『NEW環境展』でみかけた『生ゴミ処理のコンポスト型処理器』です。
 家庭から出る生ゴミや食堂から排出される残飯などのゴミ処理は、悪臭が出るのと水分が多いので困ったことでした。そこで、細菌によって生ゴミを分解するコンポスト型の処理器が開発されてきました。処理器の中に生ゴミと少量の菌を投入し、モーターで攪拌すると細菌によって生ゴミは数時間から1日位の間に完全に分解されます。残ったのは肥料となり、体積も小さくなるため運搬が楽になります。
 こんないいことずくめのコンポスト型処理器なのですが、実は問題が多い商品のようです。家庭で使用するとなれば、分解される際に発生する悪臭で部屋の中が臭くなります。業務用の大型機では、攪拌の速度と温度調整に結構難しい制御が必要なようです。こんな理由から家庭用でも業務用でも、その効能の割りには普及しません。実際に使用しているのは、専門の技術者が常時待機している処理工場のような大がかりな場所でしか使用されていないようです。
 理想の生ゴミ処理器という期待があってか、多数の企業が研究し、製品化しているようです。特に、数年前に食堂などから出る残飯や生ゴミの処理を義務付けた産業廃棄物処理法が施行されたときは、160社以上が参入したようでした。この『環境展』でも当時はどこのブースに行ってもコンポスト型処理器が出展されていました。小さな鉄工所から一部上場の大企業まで同じような内容の処理器を出展し、おかしな風景でした。しかし、欠点がわかってきたら、大部分の企業では生産を中止してしましました。現在生産している企業は20社も無いでしょう。今も継続して製造している企業は、それなりに処理にノウハウがあったり、20年以上前から細々と製造している企業だけのようです。
 しかし、そんな経過を知らない企業もまだ多くあるようで、今回も自社開発のコンポスト型処理器を初めて出展しているブースを見つけました。生ゴミ処理のマーケットが大きいので後発企業でも売れるのではないか、と期待感を持っているのではないかと思われます。過去の出展者の実績を調査せずに製品化すれば、失敗するのが目に見えている例といえます。
2005年5月25日