2025年のフューネラルビジネスフェア。

今年の葬儀業界の見本市は活況があり、大変な熱気でした。

 年一回開催される葬儀業界唯一の見本市「フューネラルビジネスフェア」に出掛けてきました。主催者の発表による開催結果は次のようになります。
         出店者数   来場者数
  2025年  149社  12897人
  2024年  144社  12031人
  2023年  160社  11815人
  2022年  134社  10153人
 こうして見ると、2020年のコロナ騒動で葬儀業界は一時沈滞しましたが、その後盛り返し、今年の来場者数は最多を達成したようです。それだけ葬儀社、業界人にとって葬儀業界の動向に関心があるようです。また、今年は6月4日と5日に開催されたのですが、来場者数は次のようになっていました。
   日付       来場者数
  6月4日(先勝)  7450人  
  6月5日(友引)  5447人
 何と、来場者は六曜の先勝の日の方が友引の日より多かったのです。友引の日は火葬場がお休みになる習慣があるため、葬儀社もお休みにするところが多いはずです。このため、この見本市には友引の日に来場者が増えると想定していたのですが、そうではなかったようです。葬儀社以外の関係者が平日を狙って来場したのか、葬儀社でも早く情報を入手したかったのか、その理由は不明です。ただ、来場者は毎年増加する傾向にあります。
 今回、私は先勝の4日に会場を訪れましたが、場内は来場者であふれるような雰囲気でした。二番目の写真は会場内の中央にある休息所を撮影したものです。写真でみるとそれほど多くの来場者ではないように見えますが、実際には人が流れているので例年に比べて賑わっていました。例年であれば、休息所の椅子はガラガラなのですが、今年は満杯に近い利用状況でした。
 来場者が増えている理由を考えると次のようになります。
 1、死亡者が増加している。
 昨年、2024年の死亡者数は161万人でしたが、高齢化社会となってこれからの死亡者数は増加し、そのピークは2040年に168万人になると想定されています。葬儀社にとって、顧客(喪主のこと)を多く集めることができる最後のチャンスと言えます。このため、各葬儀社では商材の入手や顧客獲得のノウハウなどの情報を集めるため必死になっているのでしょう。
 2、葬儀の単価が安くなっている。
 最近の傾向としては規模の小さな家族葬が増え、一回の葬儀にかかる費用が下がっています。すると、葬儀社にとって売上げが低下して、利益が少なくなってしまう。利益を増やすためには葬儀の数を増やさなければならず、見本市に出掛けて情報を入手することになったのでしょう。
 3、将来の事業の見通しのため。
 これからベビーブームの時期に出生した高齢者が亡くなり、葬儀が増えていくことは確実です。しかし、そのピークは2040年で、これから15年の間だけです。それ以降は死亡者は減少し、葬儀の需要は減っていくのは間違いありません。そうなると、葬儀社の淘汰が始まり、業界で生き残れるか、それとも他業種に転業するかの選択を迫られることになります。このストーリーは避けて通れないため、各葬儀社は将来を真剣になって考えなければならない時期にあるのでしょう。
 このようなバックグランドから、今年のフューネラルビジネスフェアでは、各ブースには過激なキャッチが貼り出されいました。3段目の写真は祭壇を止め、祭壇と同じ機能を持たせたデジタルスクリーンで葬儀を行うことを提案している企業です。これだけハッキリと書かれると、従来の白木祭壇が時代遅れではないか、と認識せざるを得なくなるかもしれません。4段目の写真も同じようなもので、旧態依然の昔ながらの葬儀を執行している葬儀社に大きなインパクトを与えているでしょう。
 5段目、6段目の写真は或る仏衣を製造している企業のキャッチです。「仏衣だけじゃない」というのは、仏衣以外の納棺に必用な商品を新規に販売始めました、という意味です。葬儀社が遺族に販売する商品が仏衣だけでは売上げが伸びないため、仏衣以外の商品も取り扱うことにして、葬儀社の売上げもこの会社の売上げも伸ばしていこう、という提案のようです。葬儀の単価が安くなっていることから、このような戦略を考えたのでしょう。

2025年6月11日