2006年03月28日

●健康博覧会の不思議な機械

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一般の常識では計り知れない機械がありました。
それでも売れるのは買う人がいるからです。

 『健康博覧会』では不思議な商品を見かけました。一段目と二段目の写真は水に電極を投入するだけで『還元水素水』を製造する機械なのだそうだ。還元水素水は酸化還元電位が高く、体内で活性酸素と結びつくため老化の原因となるような物質を体外に排出させることができるとのこと。この水を飲むことで『ルルドの水』のように病気が奇跡的に治るとのことなのだが、何度説明を聞いてもよく判らなかった。素人からすると単なる電気分解のように思われるのですが。中学校の理科の時間に実験しませんでしたか。
 三段目の写真は『ストレス測定器』だそうである。頭と手足に電極を付け、インピーダンスを測定することでその人のストレスの状況とその度合いを数値として表示できるそうなのだ。身体のインピーダンスがストレスとどのように関係するのかは不明であるが、それなりの表示が出るらしい。この機械でお客のストレス度を数値で表示させ、不安をあおることで健康食品や健康器具を売りつけるための口実にはなるようだ。価格は一セットで200万円。
 四段目の写真は身体に羽織ることで体温が上がり、痩せる効果があるというバスタオルである。会場では来場者に貸し出しをしてその効果を試していた。タオルに何かの鉱物の粉末を塗布し、遠赤外線の効果により身体が暖かくなるらしい。遠赤外線の効果があることはいいことなのだが、問題は価格である。木綿のバスタオルに鉱物を薄く塗り付けただけの商品なので、製造原価は千円以下と思われるものが三万円もするのだ。このような特殊な商品を販売するためには営業費用(人件費、在庫費用など)が膨大となり、それらの費用が最終的な販売価格に跳ね返ってくるようだ。
2006年3月27日

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●怪しげなのだがそれでも健康は欲しいのです。

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健康が第一なので、健康を金で買いたい人が多いようです。
しかし、販売のカラクリからすると?

 見本市は数多くありますが、『博覧会』とネーミングした展示会はこの『健康博覧会』だけで、国内では唯一でしょう。明治時代には各地で博覧会が開催され、西洋の最先端の技術を展示し、国内産業の振興を図ったのでしょう。するとこの健康博覧会は、『健康に関する博識を展示して世の中に広め、多くの国民に展覧させることが主旨なのでしょうか。会場内には健康に関するありとあらゆる商品、器具、食品などが並べられ、医療ではなく、医薬でもなく、健康を増進させるための商品、技術が展示されてました。
 この博覧会を訪れると、健康というイメージを金で買う人と、健康を具体化させて商品、器具を売る人がいることが判ります。しかし、ホントに健康が金で買えるのでしょうか問題です。どこか怪しげなところが多い見本市でした。なお、この健康博覧会は業者でなくても入場でき、健康食品、健康器具を購入することができます。二段目の写真ではドリンク剤を販売しているブースで、店頭で購入するよりも少し安くなってました。会場には健康オタク(中高年が大半ですが)がウロウロと品定めしてました。
 健康食品の最大の欠点は価格が高いことです。ローヤルゼリーやメシマコブなどを筆頭に一瓶数万円する商品も珍しいものではありません。三段目の写真は痩せる紅茶なんだそうで、これを毎日飲むと痩せる効果があるそうです。この机の上にあるのがその紅茶なのですが、一瓶三万円してました。どうみても普通の紅茶のように見えるのですが。
 会場内にはそれぞれのブースで各社がオリジナルの健康食品を販売してましたが、それらの商品の出所はどこでしょうか。実は、健康博覧会には下請けメーカーも出店しているのです。四段目の写真でお判りのように、「受諾製造」を引き受ける企業があります。このような下請けメーカーが発注元の企業の依頼により各種の健康食品を製造しているのです。すると、A社が販売している健康食品も、B社が販売している健康食品も、実は同じ工場から出てきたことが多いのです。A社、B社のような会社は販社と呼ばれ、製造工場は持たずに受諾製造をしてくれるメーカーから商品を購入し、自社のパッケージに入れて販売しているだけなのです。こういうカラクリが判ると、健康食品は阿呆らしくて購入する気にはならなくのではないでしょうか。
2006年3月27日

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2006年03月27日

●東京国際アニメフェアに行ってきました。

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物品の見本市とは違う、空想の世界であるアニメを売買する見本市です。
これから日本が力を入れていく輸出商品でしょう。

 アニメは日本独特の文化であり、世界に輸出できる数少ないオリジナルの商品だそうです。その地場産業が東京なので、2002年からは東京都が後援して『東京国際アニメフェア』を毎年開催しています。会場内には今流行っているアニメ、これから発表されるアニメがそれぞれの会社のブースに展示されています。こうしてアニメを東京から発信させ、世界からアニメのバイヤーを来日させて商談(ライセンスやキャラクター商品の売買)を行わせようとするものです。アニメは日本が世界に向けて輸出できる知的財産なのです。
 とはいっても、このフェアはアニメ業界のお祭りのようなものです。各種のイベントが同時に開催され、優秀なアニメ作家や企業を表彰してより優れたアニメを開発していくのが本音のところでしょう。この見本市は一般客も入場でき、アニメファンがどっと押しかけてきてました。場内にはセル画や商品を直売するブースもあり、この場でなければ買えないものもあってマニアは必見の見本市です。ただし、この見本市ではアニメのプロダクションや玩具会社などのプロが出店しているたので、素人が出店する同人誌即売会とは会場内の雰囲気が全く違います。プロの出店なのでブースのデザイン、対応が洗練されています。同人誌即売会のような泥臭さや学園祭のような雰囲気はありません。
2006年3月27日

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2006年03月21日

●ホテルレストランショー

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ホテル、旅館、レストラン向けの見本市です。
ホテル業、飲食業の裏側が見られます。

 ホテル、旅館、レストラン、飲食店に向けた見本市「ホテルレストランショー」に出掛けました。この見本市は、同一会場で「厨房設備機器展」「ケータリングショー」も同時に開催されています。以前は別々に開催されていたのですが、数年前から協同して同時開催することになったようです。主催者は現在でも別々なのですが、顧客となる来場者がほとんど同じであることから、三者が同一会場を分割して開催するようになっています。ホテル、レストランなどの業者は、調理用の設備用具とインテリアなどの内装品を同時に観察することができ便利です。他の見本市でも、業界が接近しているため同時に開催した方が来場者にとって便利な見本市も見かけられます。例えば、プロカメラマンショーと写真用品展、宝飾展とメガネ展などの併設が考えられます。しかし、それぞれの見本市では主催者の思惑や利権、さらには監督省庁の管轄範囲などの表に出ない理由により、同一会場で合併して開催することは有りません。主催者のエゴではなく、来場者の利便性を考えて協同開催して欲しいものです。
 上段は或る電気会社のブースに待機していたコンパニオンです。見本市を華やかにするためにコンパニオンが必須の要件ですが、今までは水着かミニスカートが大半でした。今年は今流行の『萌え~』のためかメイド姿のコンパニオンがいました。しかし、コンパニオンは「お帰りなさい、ご主人さま」とは言ってくれませんでした。
 中段にあるのは回転寿司店向けの搬送コンベアを受注するためのブースです。回転寿司のコンベアは珍しいものではありませんが、これが何とマレーシアの会社の出店なのです。東南アジアではもうマレーシア製の回転寿司コンベアが盛んに利用されていて、シンガポール、マレーシア、タイでは珍しくないとのことでした。日本独自の文化であった回転寿司コンベアにも外国製が出現したとは驚かされました。
 下段の写真は飲食店のインテリアに用いる人工石です。発泡スチロールの表面に塗装をして、自然の石のような加工をしていました。後ろに見える石灯籠なども同じように人工石です。伝統のある日本料理店や料亭の庭先に設えた石灯籠や庭石が、実は発泡スチロールでできた軽い人工石であるならば情緒もひったくれありません。伝統美や日本的風景が合理化という名目により、どんどん消滅させられているようです。
2006年3月20日

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2006年03月20日

●フランチャイズショー  その2

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フランチャイズでは食事に関連する事業が多いようです。
毎日のことであり、入り込むのが容易だからでしょう。

 フランチャイズショーには毎年新しい事業提案をするフランチャイズ(以下、FC)本部が見られます。上段と中段の写真は、これから始まる「介護老人宅、養護ホームに食事を供給するFC事業」の出店です。介護が必要な老人に向けた調理済料理を加盟店(介護サービス業者や養護ホーム業者)に供給し、加盟店はその料理を老人に配給するシステムです。給食サービスの変形で、老人に向けた内容のメニューに特化したものと言えます。FC本部から加盟店には調理されたパックの食事が冷凍の状態で配達され、加盟店ではそのパックを湯せんで温め、食器に配膳するだけで食事の用意ができます。何と合理的で近代的な老人向けの食事サービスでしょうか。しかし、冷凍の料理を温めるだけであり、介護老人には調理する人の温もりは伝わらないでしょう。養護ホーム、老人ホームの介護サービスも暖かみが感じられなくような気がしてきます。
 下段の写真は見本市会場の食堂ではありません。FC本部が設置したその事業で販売する料理の実物を販売している模擬店です。来場者は、ラーメン、カレー、焼肉料理、寿司などの料理をその場で食事できるように配置されてました。これは試食ではなく有料の食事ですが、加盟店を募集するFC本部が実際にどのような料理、味を出すのかその場で確認することができます。来場者にとっては昼食を摂ることと、そのFCでの料理がどの程度のレベルにあるかの認識を同時に行うことができ、一石二鳥で合理的です。FCの勧誘では、無料であるが少量の試食よりも、有料であっても店舗と同じ量、質の食事を味あわせるのが具現性が良いのではないでしょうか。
2006年3月20日

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●フランチャイズショー その1

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加盟店を募集するフランチャイズの見本市です。
不思議なフランチャイズもありました。

 フランチャイズの加盟店を募集するため、フランチャイズ本部が出店するのが「フランチャイズショー」です。この見本市は日経新聞社が主催していますが、この他にも同じような内容の見本市が2、3種類あるようです。
 フランチャイズ(以下、FC)とは、店舗を持っている零細企業家に本部が看板とマニュアルを渡し、簡単な講習でだれでも事業を開始できるシステムです。いわば、経営のノウハウをFC本部から金銭で購入し、素人であってもそこそこ儲けることができる商売の知識の切り売りと言えます。コンビニ、ラーメン屋、焼肉屋などが主なもので、今日では珍しいものではなくなってきました。その昔は、商売のノウハウ、営業のコツは丁稚奉公して知識を身につけるのが当たり前でした。しかし、世の中の進歩は早いため、数年も丁稚として勉強するような時間的な余裕はありません。また、丁稚で勉強しても、知識が身についた頃には社会が変化していき、商売の知識が通用しなくなっているかもしれません。
 このため、ノウハウや経営経験を金で買い、誰でもが儲かるシステムを売る商売ができました。それがFCなのです。しかし、加盟店が儲かるといってもそこそこで、大設けはできないようになってます。やっぱり儲けは胴元(FC本部)が吸い上げるような仕掛けになっているようです。
 さて、FCといっても、以前はコンビニのような各種雑多小売店やラーメン屋のような飲食店ばかりでしたが、昨今は色々な職種も進出しています。一般消費者からすれば、「こんな商売までがFCなの!」と驚かされるようなものまであります。しかし、一方では商売の知識を売りたい人がいて、他方では知識を買って商売をしたい人がいるのですから驚くに値しません。売れる知識、ノウハウであれば何でもFCになってしまいます。
 中段、下段の写真は「競馬の勝ち馬を予想するFC」です。本部が過去の出走馬の成績からそのレースの勝ち馬を予測するパソコンソフトを販売し、FC加盟店(すなわち、馬券を購入する人)がそのソフトの出力データで勝ち馬を判断するものです。ブースを一見するとノミ屋のようですが、予想屋であれば違法ではありません。しかし、本当のノミ屋もこのFCに加盟して、レースの勝ち馬を予測しながら営業しているかもしれませんが。
2006年3月20日

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●月刊信用組合の連載は終了しまた。

誠に残念ですが、ニッチ企業を取材してきた連載が終了しました。
短い間でしたがおつきあい有り難う御座いました。

 昨年4月より『月刊信用組合』に連載してきました『ニッチでリッチ』は今月をもって終わりとなりました。取材しておきたい企業が沢山あったのですが、編集部の方針で継続が不可となり、誠に残念でした。
 これまでの私の雑誌での掲載体験は次のようになります。
 ① 月刊φ(ファイ)  富士総合研究所
   1998年1月~1999年12月  2年間
 ② 日経ベンチャー   日経BP社
   2003年9月~2004年8月   1年間
 ③ 月刊信用組合    全国信用組合連合会
   2005年4月~2006年3月   1年間
 私個人としては、細く長く多数の中小零細企業を取材し、その企業を文字にして発表していきたかったのですが何時も短期で終了してしまいます。雑誌掲載の目的があれば見知らぬ企業であっても容易に取材を受け付けてもらうことができ、企業の内部事情を調査分析することができます。取材先が多ければ企業研究のケーススタディも多くなり、私のニッチ企業研究の蓄積が増えるのですが。
 では、何故ニッチ企業の取材が雑誌に掲載され難いか、その理由を考えてみました。私の取材企画はユニークであることから編集部では採用されるのですが、読者からの反応が悪いのです。従業員が数名から二十名程度の零細に近い企業を取り上げても、平凡な読者にとっては関心が薄いようです。隣近所でも見かけられるような小さな規模の会社の分析は余りにも身近な話題であり、楽しみが無いからでしょう。二、三億円程度の売り上げの企業の成功談であっては、『小金持ちになった親父の自慢話は聞いても参考にならない』という心理が働くのでしょうか。それよりも、急成長していくベンチャー企業や先端技術を駆使した研究開発型企業の取材記事の方に人気があるようです。短期で巨大な利益を生むベンチャー企業や、これからの生活を変えてしまう先端技術のある企業の方が『夢』があり、読んでいて楽しいからでしょう。
 ベンチャー企業の記事は楽しいものであり、読んでいて将来の明るい夢が沸いてくるものでしょう。しかし、国内にある中小零細企業の殆ど(99.999%)は上場することもなく、零細なままで終わってしまうのです。『夢』だけを頭の中に幻想しても腹は膨れません。小さくとも地道に稼いでいる中小零細企業を真似し、夢を現実のものにしてみて頂きたいものです。
 あえて比較するならば、経済雑誌に掲載されているベンチャー企業の成功談は『女性自身、女性セブン』であり、私のニッチ企業の成功談は『暮らしの手帖』ではないでしょうか。どうか、私の『暮らしの手帖』的な記事を掲載して頂ける雑誌をご紹介して頂けないでしょうか。
2006年3月19日

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2006年03月14日

●連載第12回

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パーティではおなじみのビンゴカードです。
ありふれているように思われるのですが、一社がほぼ独占して製造しています。

● パーティを盛り上げる用品
 結婚式、同窓会、誕生会などのパーティでは、ビンゴゲームが行われることが多くなった。乱数の数字を縦横に印刷したカードを使って遊ぶもので、抽選機から取り出したボールの数字とカードに印刷された数字が一致して、当たりが縦横斜めに一列に並ぶと勝つゲームである。手軽に大人数で遊ぶことができ、会場を盛り上げることができるためパーティでは必需品となっている。
 市川市にあるハナヤマ(小林邦巌社長)はビンゴカードの生産で市場をほぼ独占している企業である。
● 会社の承継
 ハナヤマは昭和八年に室内ゲーム用品のメーカーとして産声をあげた歴史のある企業で、戦後はバンカース、モノポリー、人生ゲームなどを発売してきた。社名には馴染みが薄いが、子供の頃に六角形の盤にプラスチックの駒を差し込むダイヤモンドゲームで遊ばれた記憶のある方は多いのではなかろうか。昭和三十年代にダイヤモンドゲームを大ヒットさせたのがハナヤマである。一時は関西の任天堂と並びゲーム用品では有名であったが、業績が悪化したため身売りされることになった。以前からハナヤマに印刷の下請けで出入りしていた現社長の小林氏が、昭和四十七年に商権と人材を引き取ることになった。小林氏は既に陽光社という印刷会社を経営しており、二つの会社を同時に運営することになった。
● ビンゴとの出会い
 引き受けた赤字会社の再建が一段落した小林社長は、次にヒットする商品を開発するために海外のゲームの情報を集めることにした。これは海外の商品を真似するのではなく、新商品の開拓であった。ゲーム用品業界では自社で商品開発することもあるが、他社が開発したゲームの版権やゲーム作家の著作物を買い取り、独占的に販売することは慣習となっているからである。
 昭和五十三年頃、或る商社から「香港でビンゴゲームという玩具が流行っている」という話を聞きつけた。それまで国内には無かったゲームであり、小林社長は香港まで赴いて調査した。現地で見たビンゴゲームのルールは現在と同じであったが、ゲームで使用する道具が全く違っていた。プラスチックの板に数字を印刷し、スライドするカバーで抽選された数字を覆っていくもので、パターン数も少ないものであったがこれから日本でブームになると見込まれた。
 帰国してから日本の実情に合わせて改良することにした。素材を厚紙とし、パーティなどでグラスを持ちながら空いてる他の手で遊べることを考慮して、縦横十センチ程の大きさとした。数字の配置は縦横五列とし、数字を印刷した部分を逆U字形に型抜きすることにした。抽選した数字と一致した数字の部分を曲げ、当たり数字として記憶させるためである。極めてシンプルな形状で、発売から二十年以上も経った現在もほぼ同じ構造となっている。手のひらの上で遊ぶゲームであることから、終極的にはこの大きさと構造に集約されるのではなかろうか。
 こうして新商品として市場に販売することになったが、毎年売り上げが伸び、十年程で現在の売り上げとほぼ同じ水準に達成させることができた。特に広告を出して宣伝することもしなかったが順調に成長していった。全国に強力な販路を持つ玩具問屋と結びついたことも要因であったが、時代が後押ししてくれた幸運も大きかった。その頃からベビーブーマーによる結婚式が増加し、式場でカードが使用されて口コミで広がったのである。また、バブル期になりつつある時で、企業では盛んにパーティを催すようになり、その会場でも使用されたからだ。
● 成功した理由
 現在、ハナヤマはビンゴカードの市場で八十%近くを占めているが、これは先発社としてのメリット以外に複数の要因があった。
 カードの印刷は同じ社屋にある関連の陽光社で行っているが、陽光社の業務は厚紙の印刷と型抜きに特化している。この業務は、カード製造の作業と完全に一致しているため製造コストを合理化できた。また、早い時期にカードのパターンを増やしたことも他社が追従できない原因である。カードには縦横に区切られた二十五の枡があり、それらの升に一から七十五までの数字を乱数で配置していくのだが、大人数でゲームをしたとき同じパターンのカードが配られると複数の勝者が発生してしまう。このようなミスを避けるにはカードのパターン数を増やさなければならない。発売初期は三百パターンであったため、三百人のゲームが限度であった。現在は六千通りのパターンでカードを印刷しており、六千人が一度にゲームすることができる(一時は一万二千種類のパターンを用意したが、在庫管理が大変なので減少させた)。これだけのパターンを用意するには六千種類の印刷原板が必要となるが、ハナヤマでは早い時期に原板を作成してしまった。これから他社が同じ種類のパターンの原板を用意するとなれば膨大な先行投資が必要となり、新しく参入してもメリットがないからである。
 肝心なことであるが、ビンゴカードは一回のゲームでカードを折り曲げるため使い捨てである。パーティでゲームが行われたならば確実に消費され、毎年利益が出るドル箱の商品である。ハナヤマは各種のゲーム用品を販売していて、ビンゴカードは商品群の一つでしかない。しかし、他の商品は木質や金属製であり、数カ月から数年は保有されるものであり、毎年のように確実な利益が生じるものではない。ハナヤマにとってはビンゴカードは恒久的に利益を確保できる商品なのである。
● これからの展開
 ビンゴゲームはルールが単純なため老若男女を問わず参加でき、安価に大人数で遊べることから根強い人気がある。だが、パーティや催物会場でしか使われない特殊性から、景気の波に左右される欠点がある。また、中国製の安価なカードが百円ショップなどで目立つようになった。今後も売上高を確保するとなれば、市場でのシェアーを高水準に維持しなければならない。このため、ハナヤマではカードの差別化を図ることにした。ディズニーなどのキャラクターを印刷したり、点字を印刷したりして、顧客にカードの選択範囲を広げ、市場でのシェアーを落とさない努力している。

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