2005年10月28日
●産業交流展では不可思議な商品もあります。




出展する商品は自由なため、一般知識では理解できないものもありました。
不思議な商品も見かけられます。売れる売れないという議論の前に、このような商品を考えたことに感心させられることが多いものです。それらの中には、今は反響が無いが時間が経過することによって市場で認知されるものもあります。だが、そのように認知される商品は極く一部であり、殆ど(99.99%)の商品は虚しく消えていくのが運命です。
上段の写真は、脳波を図って認知症やアルツハイマー症を判断しようとするもの。脳波の分布を分析し、異常があることを自己判断できるものらしい。一応は効果があるらしいのですが、医学的に立証されたものではないそうです。「厚生省の認可は受けてません」と断り書きがありました。
中段の写真は、いともシンプルな出店で、ベッドが一台だけ展示してありました。これは指圧用のベッドだそうで、自由に指圧ができると謡ってました。
下段の写真は、自動的に膨らむ防護頭巾を付けたリュックサックだそうです。リュックサックに中に頭を防護する頭巾が畳み込まれていて、紐を引っ張ると炭酸ガスで膨らみ、頭部を保護できるようになってました。災害の時に便利だそうなのですが、常時この重いリュックサックを背負っていなければ役に立ちません。何時発生するか予測できない災害のためにこのようなリュックサックを持ち歩くのは現実的ではなさそうです。防災用品としては落第ではないでしょうか。
2005年10月28日
●産業交流展で見かけた企画倒れの新商品



中小企業もいろいろ新商品を開発するのですが?
どう見ても売れそうにない新商品も多いのです(失礼ながら)。
この見本市の出品には何でも有りのため、変わった(と言うより、売れない)商品も数多くみかけられた。それらを笑うのもいいが、第三者から見て売れないような商品を真剣になって開発している企業の姿勢を発見するのも一つの社会観察である。色々な会社が色々な商品を企画して実際に製作していることが判るはず。世間の知識が広がることは請け合います。
上段の写真は、パラポラ型の反射体で太陽光線を集めてお湯を沸かす道具です。アルミコーティングした布を傘の骨に張り、中央に焦点を結ぶように設計してあります。30分でヤカンのお湯が沸くとのことです。災害のときやキャンプ場で使用すると燃料が無くとも料理ができる、と説明していました。だが、このような商品は既に何十年も前から発売されていて珍しいものではありません。災害時にはこんな脆弱な道具では実用に耐えることができないはず。見本市を観察していると何年かに一度はこれと同じ商品を開発する企業が現れますが、実際に売れた、という話は聞いていません。開発した人の独りよがりで売れるものと妄信したのでしょう。
中段の写真は、果樹園、農地の廻りに網を張りめぐらし、網に盗人や猿が接触するとスイッチが入って警報音を出す、果実や農作物の被害を防止する装置です。これも目新しいものではありません。盗人ならば昼間の下見の時に目星をつけておいて、夜間に電源を切断してしまいます。猿なら警報音も最初だけは驚くのですが、その内に慣れてきて堂々と進入してきます。猿知恵の方がレベルが高いのです。
下段の写真は、ゴミ袋の集積装置です。ゴミ袋を網で挟んで保管し、ゴミ収集車が来るまで管理しようとするもの。しかし、不特定多数の人が使用する道具であり、こんなチャチな機構では直ぐに壊されてしまいます。公共で使用するものは無骨で頑丈でなければ実用性がありません。
2005年10月28日
●産業交流展に行ってきました。一味変わったものです。



東京都が主催する、唯一の中小企業向けの見本市です。
楽市楽座を連想させるようなごった煮的なところがいいのです。
東京都及びその周辺都市にある中小企業だけを出展対象とした見本市で、東京都が主催している珍しい見本市である。「東京都」という地域を限定し、さらに、「モノ造りをしている中小企業」という制限をした中で、やる気のある中小企業だけが出展している。一般の見本市では、大企業による出展が大半で、飾りつけ、ブースのデザインなどは洗練されています。コンパニオンもいて賑やかな演出があります。それに比べるとこの「産業交流展」では地味というより泥臭い雰囲気の会場であり、野暮ったいことが特徴です。出店者の資格も「単にモノ造りをしている中小企業」という締めくくりなので、範囲が極めて広く、ありとあらゆる種類の中小企業が出展していました。中小企業と言っても、百人規模の組織的な企業から一人で運営している家内工業的な企業まであり、まとまりのつかないへんてこな見本市でした。出品されている商品もレベルの格差がひどく大きく、玉石混同というよりは「石石石たまに玉混同」と表現するとピッタリです。
こんな風に表現すると、この見本市は全くダメであり、見学する価値がないように思われますが、これが面白いのです。大企業では開発しないような変わった発想による商品や、アイデアだけで実用性が薄いような商品の中で、たまに光る商品もあるのです。それらを見つけ出すのが楽しいのです。いわば、中近東のバザールに出掛け、偽物ばかり売っている商店の中にたまに出てくる本物の骨董品を発掘するような面白さです。
こう言った観点からすれば、この中小企業だけの見本市は見学することは大きな価値があります。一度は覗いてみて下さい。きっと何か得られるものがあるはずです。
会場内を写した写真を参考にして頂くと判るのですが、あか抜けせずに泥臭さが満ちあふれています。ノボリを多数立てていますが、場末の駅前商店街のような雰囲気です。各ブースには飾りつけもなく、商品がテーブルに並べられていて殺風景なものです。だが、この無愛想さ、泥臭さがたまらなく好い、とおっしゃる方も多いのです。ネクタイをぶら下げたサラリーマンではなく、ジャンバーを着た零細企業の社長達にとってはこちらの雰囲気がピッタリしている、との感想でした。
2005年10月28日
2005年10月25日
●治安対策、テロ対策のための見本市。




軍事マニアなら一度は見てみたい特殊用品です。
見本市の場所や名称はナイショですが。
防災、テロ対策のための商品を展示した見本市です。極めて特殊な商品ばかりで、来場者は警察、公安関係、消防関係などの極めて特殊な方々ばかりです。しかし、並べられている商品はミリタリーマニアが涎を垂らすようなものばかりでした。さすが、銃砲関係の武器は展示されてませんが、それに近いものが多いのが特徴です。元々、軍事用やゲリラ用に開発された商品なので、一般家庭で使われることはあり得ません。
上から順に、暗視用のゴーグル、暴動鎮圧用の催涙弾発射銃、防毒用のスーツ、敵地上陸用の水中スクーターです。一部の商品はすでに警察関係が購入し、備品となっているものもあるようです。しかし、マニアが購入しようとしても売ってくれないそうです。身元がハッキリしていて、使用目的がハッキリした機関にしか納品しなとのこと。マニアにとっては見るだけの商品のようです。
昨今のように不安な社会になってくると、このような警備、鎮圧のための道具が盛んに商談されることになりそうです。
2005年10月25日
●ニッチ企業育成セミナーの最終回です。

にいがた産業創造機構による最後の講座を東京で開催しました。
皆様、半年の間勉強して頂きました。
今年の5月より『財団法人にいがた産業創造機構』の主催で『ニッチ企業育成連続セミナー』を毎月開催していました。前5回は座学によるニッチ企業についての知識と実際について講座を行ってきました。10月14日は総集編として、受講生が上京して東京ビッグサイトで開催された中小企業総合展を見学することになりました。
この日は、中小企業総合展の開場を各自が廻り、「売れ筋商品」を発見することが授業となりました。総合展には全国から中小企業の新製品が出展されますが、その中で売れる商品とうれそうに無い商品を見分け、これから売れるであろうと思われる商品を各受講生の判断で見つけ出す作業です。いわば「目利き人」になるための訓練です。中小企業主は売れ筋商品を見分ける力が無ければ成功しません。この日の会場の中で皆様四苦八苦しながら売れ筋商品を見つけていました。
売れ筋商品が見つかったなら、会議室で発表し、どのような理由で売れるはずであるかを説明しなければなりません。しかし、このような作業は始めての方ばかりなので、トンチンカンな商品を選ばれた方が大半でした。このような訓練をすることで、これから企画していく商品の方向性がつかめることになります。
当日の参加者は18名でした。皆様ご苦労さまでした。
2005年10月25日
●中小企業総合展 売れそうに無い商品か



中小企業の開発した商品には売れそうに無い商品も見かけられます。
商品企画の段階で厳密に検討すべきではなかったでしょうか。
中小企業総合展では、どう考えても売れそうもない商品も出品されてます。出展している本人は「売れるはずだ」と確信して商品開発したようですが、マーケットを考えていないための悲劇です。売れないと自覚したなら早々に撤退することも大切です。
上段の写真は、風力発電機、水力発電機です。エコエネルチーが盛んに叫ばれているため、風力、水力を利用して発電し、家庭内の電力供給に利用することを考える人は多いのですが、実用性とは別のことです。この出展者は定年退職してから現役の時の電気技術を利用して発電機を開発しているそうです。趣味で開発するのは良いことですが、既に多くの競争会社が類似品を販売しています。この程度の技術であれば高度な能力を必要とせず、誰でも開発できます。中小企業が開発する商品なら、他の企業が真似できないような隙間を狙うべきではないでしょうか。
中段、下段の写真は、自転車の鍵です。無線で自転車に取り付けた鍵を施錠、開錠を行うことができるものです。一見すると便利なようですが、無線で施開錠を行っても日常生活には大きな得失にはなりません。スーパーなどでは安い自転車が1万円以下で販売されているのが実情です。この無線鍵は4800円もします。自転車の価格の半分もするような鍵は誰が買うのでしょうか。この会社は昨年も出展していましたが、その時は3800円で売ってました。そろそろこの会社もこの無線鍵の販売を諦めて、次の商品の開発に取り組んだ方がいいのではないでしょうか。この商品がバッタ屋などで数百円程度で販売されるようになったらもうお終いですよ。
2005年10月25日
●中小企業総合展 売れる商品は



会場を見て歩くと、これから売れ筋の商品があります。
売れそうな商品を見つけると嬉しくなります。
中小企業総合展では、中小企業が開発した新商品が発表されてますが、玉石混同です。売れそうな商品かそうでないかは来場者の眼力によって判断されるでしょう。私が判断した売れる新製品を3つ程選んでみました。
上段の写真は、カツラの自動洗濯機です。電器釜のような容器の中にクラゲのように納められているのがカツラです。私自身としてはあまり使いたくない商品ですが、世のなかにはこれのお世話になっている男性が300万人いる、と言われています。汗をかいて埃のついたカツラを自動的に洗濯してくれる機械はカツラ愛用家にとって便利でしょう。定価は16万8千円とのことでしたが、もっと高くても売れるでしょう。
中段の写真は、断面が三角形になった爪楊枝です。2月に放映された「ガイアの夜明け」で紹介されたものです。中国製の安い爪楊枝に対抗し、飲食店向けではなく、薬局などに向けて販売していくそうです。価格は中国製の10倍以上する高付加価値商品です。中小企業は、こんな独創的な商品を開発していって欲しいものです。
下段の写真は、光る手すりです。細長い中空の棒の中に蛍光灯が入れてあり、夜間に人が近づくと棒全体がほのかに光り、手すりのある場所を知らせることができます。足腰の弱った老人が夜間にトイレに移動する場合などに役に立つでしょう。老人介護のために自宅を改造したり、擁護施設の廊下に使うと効果が出るでしょう。しかし、このような便利商品はマネシタ電器などがいち早く取り入れ、自社の販売ルートで売り出すことも予想されます。大手電気会社からの参入を防止する対策が必要となるでしょう。
2005年10月25日
●中小企業総合展 絞り加工も見られました


全国の中小企業の主立ったところが出展していました。
玉石混同ですが、中小企業の見本市としては活気があります。
中小企業の製品、技術だけを集めた見本市です。中小企業基盤整備機構が主催するもので、今年で2回目です。官公庁が主催する見本市は役人の固い頭で運営しているため、出品された商品には面白いものがなく、会場に活気が見られないのが多いのです。この総合展は役所臭いところが少なく、テーマも多様化していて活気がありました。出展者数は600社程度で、中小企業を対象とした見本市では日本一大規模なものでしょう。役所主導の中小企業向け見本市・展示会の大半は、お役人の一人合点による独善的な内容が多いのが問題となってます。これからは民営化により活気のある中小企業向けの見本市を多く展開していって欲しいものです。
会場内では「ヘラ絞り加工」の実演をしていました。テレビで観ることはあっても、実際に作業しているのを見るのは始めてです。大田区の特殊技能であり、日本の誇る加工技術だそうです。薄い鉄板がいとも簡単に花瓶などに加工されていくのは面白いものです。この実演を見て加工技術を習得しようと考える人達も出てくるのではないでしょうか。
2005年10月25日
2005年10月24日
●日本トラックショー その2



防弾使用の特殊車両です。
街で知らない内に走行していることもあるでしょう。
一見するとどこにでもあるような平凡なバンである。しかし、この自動車はテロや強盗などに対応するために改造された防弾車である。窓ガラスの厚さは3センチ近くあり、ライフル弾、マグナム弾でも貫通しない能力がある。窓ガラスが強化されただけでなく、車体の側面、床には2センチ程の厚さの強化鋼板が埋められていて、地雷にも耐えることができる。ガラスと強化鋼板のため、車体の重量は1トン程増えるらしい。
改造車の用途としては、現金、貴金属の運搬車輛がある。それ以外には、重要人物が利用する車輛の強化がある。小泉首相が乗り回している公用車も同じ程度の改造がされているらしい。改造が特殊過ぎるため一般には販売していないらしい。また、改造を依頼した顧客についても、支障があため公表できないらしい。
国内でもこのような要人警護、貴重品運搬のために車輛を改造するメーカーが数社あるらしい。中国人などによるピストル強盗が多くなってきたため、今後はこのような特殊改造車の需要が増えるであろう。
平成17年10月24日
●日本トラックショーが開催されました。



トラックをテーマにした地味な見本市ですが、日本の物流を支えています。
昔流行ったデコトラはありません。
現在(平成17年10月24日)に、幕張メッセでは「東京モーターショー」が開催されている。新聞などで広告が掲載されているので、新車やコンプセトカーを見るために家族連れで出掛けられた方も多いのではなかろうか。丁度同じ時期に、東京ビッグサイトで「日本トラックショー」が開催されていることをご存じの方は少ないであろう。「日本トラックショー」は2年に一度開催される小規模なもので、運送会社や企業内の車輛部門の担当者が来場している。地味な見本市であるが、ここで展示されたトラックやバンが日本の物流機構を支えているのである。
上段の写真は新型トラックの説明である。モーターショーのように水着姿のコンパニオンや美女群はいません。極めて健全で地味な展示です。しかし、来場者は仕事で使う実用性のあるトラックの商談を目的としているので、派手なコンパニオンなどは必要がないからでしょう。しかし、ここで販売されている営業車は一台数千万円もするものもあり、個人需要のファミリーカーとは桁が違ってます。
中段の写真は、アメリカのトラクターであり、「コンボイ」と呼ばれている。映画で上演されたことがあるのでご存じの方もいるであろう。日本国内の車検を持っており、公道を走行できる仕様になっている。同型のトラクターは国内に2台あるとのこと。このコンボイを所有する会社は、トラックに使用する各種のアクセサリーを販売するのが業務である。全国各地で開催される展示即売会にこのコンボイで出掛けているそうだ。いわば、アクセサリーの販売のための広告塔であるが、価格、維持費からすれば社長の道楽のようなものである。
下段の写真は重量物を運搬するための特殊仕様のトレーラーである。車輪が全て油圧で舵切りすることができ、車体を平行に移動させることができる。タンクや建造物などの重量物を微妙な位置に移動させることができる。こんな特殊車を間近で見ることができるのはトラックショーだけである。
平成17年10月24日
2005年10月13日
●連載第7回


日本一の金屏風を製造している零細企業です。
古くさい商品と思われてますが「屏風の浅井」は見事に生き返させました。
● 祝い事の場に欠かせない金屏風
結婚式、襲名披露、叙勲報告などの、『和』の祝い事には必ず金屏風が用意されている。屏風が明るく反射するため、主賓を華やかに見せることができるからである。また、会場での主賓の席を目立たせる効果もあるのだろう。結婚式場、ホテルなどの宴会場では、金屏風は必需品である。
名古屋に所在する浅井(浅井貴之社長)は、近代的な手法で金屏風を製造し、業界でトップになった企業である。
● 歴史のある古い会社
現在は法人化されている浅井には百二十年余の歴史があり、愛知県では戦前から『屏風の浅井』として有名な老舗である。初代が安政年間に金銀細工店を創業し、明治期に金銀細工から金箔製造に転業し、さらに、金屏風の製造に転業した。貴金属に関連した業種であるので、転業が容易であったのであろう。大正期になると日本画、掛軸、額縁も取り扱うようになったが、屏風の製造過程で表具師と交流することがあったからである。明治、大正と時代が変わるにつれ、本業に接近した他の事業に上手く鞍替えすることができたのが事業を長続きできた要因であろう。
昭和の始めになると、三代目は職人を分業化させて量産し、価格を引き下げることに成功した。松阪屋百貨店に納品し、同時に、月賦販売も行いって当時としては革新的な販売を実行した。浅井が金屏風の販売に力を入れたのは、地元の風習が影響していたようだ。戦前の愛知県では嫁入り道具に金屏風を加えることが多く、他の地域に比べて需要が大きかったからだ。
● 新型金屏風の開発
伝統的な金屏風は、建具屋が杉や檜の木枠の内部に枡目のように縦横の桟(さん)を入れた格子を製作する。この格子の表面に表具師が下張りと上張りをし、表面に金箔を貼って完成する。襖の製造と似ていて、昔はどこの地方でも、地元の表具師が注文によって生産していたらしい。このような本物の金箔を使用する金屏風は「本金」と呼ばれ、六尺六曲と呼ばれる標準品で三百万円以上もする。現在でも製造されてはいるが、工芸品の領域であって高価であるため、滅多に注文されることはない。
戦後になると、金箔の代わりに真鍮の箔を貼り付けた「洋金」という安価な金屏風が出回るようになった。平成期の初めからは、金色の塗料を印刷した色紙を使用してさらに安価な「金紙」と呼ばれる金屏風も製造されるようになった。これら三種類の金屏風は表面の素材が相違するが反射率は同じようなもので、遠くから見たら素人では区別することは難しい。現在は「金紙」の屏風が主流となっている。
さて、国内の生活様式が洋式化するに伴い、業界全体での金屏風は売れ行きが年々落ち込むようになった。受注生産で細々と製造していた個人の表具師は、とっくの昔に生産を止め、金屏風を生産している企業は浅井を含めて全国で五社にまで減ってしまった。
業界が落ち込んでいった頃に、会社員をしていた五代目の現社長が親の仕事を継ぐ時期にさしかかってきた。商品の特殊性から売り上げがジリ貧となっていくのは止めようがなく、今までとは違った経営戦略が求められた。この頃、同業者の中に、「金紙」を量産して安価に販売し、業績を大きく伸ばしている企業があることを知った。業界は縮小していくが、良質な商品であれば同業者のシェアを奪い、十分に採算が取れるという実証であった。この企業の戦略がヒントとなり、衰退していく業界であっても、業界の中で日本一となればそれだけの利益を上げることができるはず、と現社長は確信した。
すでに先行している同業者に打ち勝つには、その企業の商品よりも魅力がなければ売れない。このため、軽くて丈夫で、定価を十万円以下にして顧客が買い易い金屏風が目標となり、従来とは違った発想で製造することにした。伝統的な木や紙を使わず、樹脂製のボードの周囲を黒色のアルミの枠で囲い、ボードの表面に金紙を貼り付けた構造とした。外観は従来の金屏風と全く同じであり、量産が可能となった。だが、新素材を使用したことから思わぬ問題点が出た。ボードと金紙の吸湿度が違うため、湿度が変わると屏風全体が反ってしまう現象が発生した。また、アルミ製の枠は柔らかいために、枠の角が欠け易い問題もあった。試作品を出荷してみると半分以上が返品され、返品の処分に困ったこともあった。外枠の構造を変え、ボードに向く新素材を見つけては試作を繰り返すことになった。二年余り続いた開発で湿度の影響を受けず、丈夫な枠組みの構造を持つ「ストロングライト」が開発でき、平成五年から本格的に販売を開始することになった。
販売では問屋も大切にしたが、利益率の高い直販を心掛けることにした。ホテル、旅館、結婚式場などの需要家にダイレクトメールを発送したり、業界誌に広告を掲載してみたが反応は薄かった。偶然にホテル、ブライダル関係の見本市が存在することを知り、平成九年から見本市だけで勝負することにした。見本市では直販の商談を行ったが、同時に社名を業界の人達に宣伝することも力を入れた。浅井の名が企業に知れると、金屏風を購入するときに納品業者に浅井を指定してくれるからだ。現在では直販が六割、問屋経由が四割となり、年商は五千万円になった。金屏風の販売統計が無いため正確ではないが、全国のマーケットは年間一億五千万円と推測されている。浅井のシェアは三十%を越したが、同業者が廃業していくためこれからもシェアは伸び、日本一となるのも遠いことではなくなった。
● これからの展開
次に狙っている商品は「掛軸」である。古臭いと思われる掛軸をIT技術のインターネットを利用して、消費者に通信販売することにした。新旧の意外な組合せで掛軸が本当に売れるのか、と疑問に思われるかもしれない。しかし、若い人は敷居の高い美術商や骨董店を嫌がり、明朗価格のインターネットを好むようである。掛軸の通信販売は平成十五年から始めたが、二年目には年商三千万円になった。掛軸の販売でも日本一となるのが浅井の夢である。
2005年10月09日
●印刷機の見本市、JGASでは、その3


見本市では来場者に無料で紙バッグを配布しています。
この出展者は気の利いたキャリアーを配布してました。
印刷機の見本市『JGAS』で、商品ではないが面白い物を見つけた。某印刷機メーカーが顧客に配付していたキャリアーである。見本市ではどの出店者もカタログや見本を入れるための紙バッグを配付しているところが多い。ところがカタログなどが多くなると結構重くなり、持ち運ぶのにくたびれることがある。
そこでこの出店者は、紙バッグの代わりに下面に車輪を付けて引き歩くことのできるキャリアーを配っていた。プラスチック製の台車の上に段ボールの空き箱を乗せただけの簡単な構造であるが、重いカタログを持って会場内を移動するには極めて便利であり、疲れない。元々は欧州の見本市でどこかのメーカーが配付していたため、同じものを東京でも配付することになったらしい。中国製であり、長期間使用するものではなく、1、2回使用すれば壊れるようなチャチなものであるが、便利である。今まで、出店者が来場者に配付していたのは同じような紙バッグばかりであった。これからは無料で配付するにしても気の利いた物を配付して欲しいものである。無料で貰うものなので、苦情を言うような立場ではないが、どこの出店者も来場者が喜ぶような物を考えず、十年一日の如く同じような物を配付するのは止めた方がいい。これからは来場者のことを考えた配付品を工夫すべきでなかろうか。
2005年10月8日
●印刷機の見本市、JGASでは、その2



日本は中古自動車ばかりか、中古印刷機も輸出しているのです。
印刷機の見本市では、出店するメーカーが限られていて、印刷機自体が隙間商品ではないため私にとっては面白いものではなかった。しかし、この見本市で驚かされたのは、中古の印刷機、印刷関連機械のブローカーが多数出店していたことである。日本で使用されているオフセット印刷機などは世界的にみて最高水準の技術レベルがあり、中古であっても諸外国、特に後進国では、まだまだ使える機械なのである。ここに目を付けて、印刷会社で使用しなくなった中古の印刷機を買い取り、外国に輸出するブローカーが活躍することになった。
上段の写真はインド人が経営する中古印刷機買い取り業者で、インド、中近東方面に輸出しているそうだ。中段の写真はロシア専門の輸出商社であり、下段の写真は韓国への輸出商社である。どの程度の金額で買い取られ、輸出されるか不明であるが、後進国では高性能ではあるが高価な新品の印刷機を購入できないため、このようなブローカーが活躍できるのであろう。問題は輸出した印刷機が故障したときの対応なのであるが、現地の販売店ではそれなりの修理技術があるようだ。また、補充部品もどこからか入手できるのであろう。中古の自動車が後進国に輸出されているのは有名であるが、中古の印刷機までもが輸出されているとは誰も考えなかったであろう。
2005年10月8日
●印刷機の見本市、JGASでは、その1



4年に1度の印刷機の見本市です。
主に、中規模の印刷会社を対象にした商品が展示されました。
印刷機、印刷用品の見本市である『JGAS2005』に出掛けてきました。印刷機関連の見本市であり、印刷機本体の製造会社、インクの製造会社、製本機などの印刷に関連する機械の製造会社が出店してました。この見本市は4年に一度開催されるものであり、オリンピックと同じです。印刷に関連する見本市はこれ以外にも別の団体が開催しており、印刷業者の規模、能力に合わせて見本市を開催しているようだ。新聞紙の印刷機などは大がかりになり、顧客の印刷業者も町の印刷会社とも違っているため、別の見本市で展示されている。
会場内には中規模の印刷業者に向けた機械や設備が展示されていた。町中にある親父さんが一人で経営してい零細な印刷屋が使う印刷機ではなく、グラビア印刷したり、製本できるまでの能力を持った中規模以上の印刷会社を来場者の対象としたものである。会場にには4色を連続して印刷できるオフセット印刷機が並べられていた。普通、このような印刷機を直接見ることはできないし、印刷する過程をその場で理解することができた。内外の大手印刷機械メーカーが出店していたが、このような印刷機のメーカーは世界的にも限られていて、ドイツ、日本、米国などの数カ国の独壇場であった。
従来の印刷ではフィルム製版が必要であったが、昨今はコンピューターによるDTPでそのまま印刷版面が出力できるようになり、技術革新が進んできている。数年もするとフィルム製版の作業が無くなるのではなかろうか。
2005年10月8日
2005年10月08日
●国際福祉機器展のユニークな商品


似たような商品ばかりの福祉機器展ですが、頑張ってる企業もありました。
目立たないが味のある商品です。
どのブースも似たような商品ばかりが目についた国際福祉機器展であったが、中には他社ではできないユニークな商品を開発している企業も見つけることできた。大量には販売できないが、誰かが必要としている商品だけに開発を特化させた企業である。
上段の写真ではプロテクター機能のある帽子である。要介護者が転倒して頭部を打撲するのを防止するために、緩衝材を内部に縫い込んである。転倒しても頭部に大きな衝撃を与えないことができるようになっている。この商品の特徴は、外観が帽子なのである。以前から転倒防御のためにプロテクターは存在したが、いかにも介護用品というデザインで野暮ったいものであった。この企業のプロテクターでありながら、最近流行っているデザインで帽子を製造している。外観からすると普通の帽子なのだが、実は緩衝機能がついているのがミソである。この企業はかなりの種類のデザインの帽子を製作していて、使用者の好みに合うデザインを供給していた。なお、この企業は札幌に本社があり、冬季において道路が凍結したときに、学童が滑って転倒する事故が多いことから開発を始めたようだ。
下段の写真は松葉杖である。デザインもユニークなのだが、特徴は脇の下に当たるパットの形状が人間工学に合わせた曲面に仕上げていることである。従来からの松葉杖では、パットの形状がごつくて使い難かったのを改良したものである。なるほど、昔からある松葉杖では長時間使っていると脇の下が痛くなる。この点を改良し、デザインもシンプルにしたのである。しかし、価格が高くなり、経費を節減したい病院ではあまり採用してくれず、年間数百本しか売れないと担当者は嘆いていた(松葉杖は病人が購入するのではなく、病院が一時的に病人に貸与するのが慣習となっているため)。病人が使って便利な商品であるため、病院側や行政側は普及に努めて欲しいものである。
2005年10月6日
●国際福祉機器展に必ず出る商品は


ポータブル便器は介護用品の目玉なのですが。
便器を扱う家族や介護士にとっては悪臭の問題が。
介護用品の見本市に出掛けると、目立って出品されているのは『車椅子』『ポータブル便器』『障害者用浴槽』である。私はこれを福祉機器三点セットと呼んでいる。これらの商品については数多くの中小企業が参入し、それぞれが工夫した介護用品として商品化、試作品化を図っている(売れるかどうかは別にして)。考えてみたら、『移動、排泄、入浴』というのは生活するために欠かせない習慣であり、これらの商品は介護のための必需品となっているからだ。同時に、これらの介護用品はそれほど高度な技術がなくとも製造することができるため、中小零細の企業であっても参入できる、と錯覚しやすい。このため、ポータブル便器でも色々な企業から商品が出品されていた。
ここで問題なのは、ポータブル便器を開発した企業はその便器を使用する人の立場を考えていないことである。どの企業も椅子の中央に丸穴を明け、その下に排泄物のタンクを取り付けた構造のポータブル便器を製造している。さて、このタンクに投下された排泄物はだれが処理するのであろうか。タンクを洗浄する時に臭う排泄物の悪臭はだれが嗅ぐのであろうか。それは家族や介護士であるが、他人の排泄物を処理するのは嫌な作業であることは間違いない。単に椅子にタンクを取り付けただけのポータブル便器では、使う人の立場を考えていないのである。誰か、根本的な問題を解消したポータブル便器を開発して欲しいものである。
上段の写真は排泄物からの悪臭を防ぐための装置である。おむつが外気と接触しないように、排泄物が付着したおむつをビニールで密封することができる。装置におむつを投入するまでは臭いが出るが、ビニールで封鎖してしまえばそれ以降は臭いが出なくなる。おむつはビニールごと焼却すればよいことになる。ビニールを消耗するのが少し欠点だが、介護する人の身になってみれば、有り難い機械である。
下段の写真は典型的なポータブル便器である。シンプルと言えばシンプルなのであるが、似たような構造の商品はあちこちのブースで見かけられた。誰でもが思いつき、誰でもが製造できる構造である。もう少し工夫して欲しいものである。
2005年10月6日
2005年10月07日
●国際福祉機器展での車椅子は



福祉機器展での車椅子の展示エリアは、あたかもモーターショーのよう感じであった。
車椅子はもう中小企業が参入できる業界ではなくなってきた。
年1回に開催される『国際福祉機器展』に出掛けてみた。福祉というと老人介護を連想されるかもしれないが、身体障害者、知能障害者も含まれていて幅広いものである。しかし、見本市に出店している企業は老人介護を目標とした商品を展示している所が目立つ。これは介護保健制度により、老人介護には巨額の補助金が交付されるからである。この補助金を目当てにして、蜜にたかる蟻のように数多くの企業が介護の新製品を出品しているのが現実である。来場者は介護施設の職員か、介護用品を使用している障害者である。会場には車椅子で新商品を見学にきている障害者の姿が目立っていた。
介護用品の筆頭といえば『車椅子』である。介護保健法が制定された年の福祉機器展では、全国から車椅子を試作した中小企業が数多く参加してきた。それらは90社近くまで数えられた。なるほど、車椅子は障害者にとって必需品であり、製造も比較的簡単である。これが商機だと考えたのだろう、今まで鉄工所などを経営していたような中小零細企業までもが車椅子の製作に取りかかったようだった。しかし、現実は厳しくて、安価な車椅子は中国製が一万円以下で進出し、電動の高級品では昨今に始めたような新規参入企業では製造が難しい。毎年の福祉機器展の回を重ねる度に、車椅子を出品する企業の数は減っていった。世のなかが福祉に向かっている、といっても技術や企画力の無い中小企業が出る幕ではないのが判ったのであろう。しかし、性懲りもなく今年も新規参入を目指した詰めの甘い中小企業が車椅子を出品しているのが見受けられた。人真似をした商品を開発せず、オリジナルで独創的な介護商品を開発すべきであろう。
今年は、車椅子を出品した企業のブースが会場の1/3の面積を占めていた。しかも、日産、トヨタといった大手自動車メーカーも新商品を出品していて、大企業も福祉の世界に乗り込んできた様子が伺われた。益々、中小零細企業が新たに進出する業界ではなくなってきた。特に、自動車メーカーの開発した車椅子は、技術力があることから完成度が高く、零細企業では真似ができないレベルに達していた。このような大企業が試作した車椅子を観察すれば、中小零細企業の経営者はこれから新しく車椅子を開発しようという横着な考えが無くなるはずである。
上の写真は車椅子に試乗する障害者である。身体障害者にとっては車椅子は生活の必需品であることから、使いやすい車椅子を常に求めている。このため、福祉機器展ではそのような新型の車椅子を探しに来ている障害者も多い。このため、年一回開催される福祉機器展はあたかも『日本モーターショー』のような感じであった。新型の自動車を見るために見本市に出掛けるドライバーと、新型の車椅子を見るために見本市に出掛ける障害者とは共通した心理があるのではなかろうか。
中段の写真は、階段を昇り降りできる車椅子の補助具である。この手の新商品は毎年のように出品されるのだが、実際に使っている場面を見たことがない。多分、それほど実用的ではないのであろう。
下段の写真は車椅子をそのまま乗せ、操縦者ごと移動できるトレーラーである。平たい車体の上に車椅子を搭載し、後ろに介護者が立って乗り、電動で移動できるものである。かなり大げさな装置になるのだが、このような商品の用途はあるのだろうか。多分、数台は売れるかもしれないが、それ以上に広く利用されることもないであろう。実際の介護の現場を知らない技術者が考えたものであろう。
2005年10月6日