2005年05月07日

●悪質な社長

世間には性格の捩じれた社長もいるようだ。
私のであった最悪の社長は人間性が疑われるような人物だった。

 今まで出会った社長の中で一番ふざけた人物は、宇和島の花火会社の社長であった。事前に取材の目的を具体的に提示し、取材ではどのような内容を聞き取りたいか、を知らせておいた。東京から飛行機、列車を乗り継いで宇和島まで出張したが、これは大旅行であった。駅前に一泊して、翌朝会社を訪問することになった。
 社長室で取材を始めたのだが、先ずは江戸時代のご先祖様の経過から始まり、明治時代の先々代の職業などをユックリと丁寧に解説してくれた。次いで、戦後の親の職業と生活振りなどの説明と、親の面倒を見るために大学を中退して親の仕事を引き継ぎ、苦労した話などが続いた。ここまでの流れで1時間半ほどがかかった。私の取材の目的は隙間商品の企画と開発であり、ここの部分だけを詳しく聞き取りたいのである。ご先祖様が武士であったかどうかは関心がない。当の社長もそれを知っていたはずである。無関係な話が延々と続き、最後の30分になって花火を開発した動機や経過をチョロチョロと話しはじめた。それも具体的ではなく、ポツポツと何の脈絡もなく説明するので全体像が判らないものであった。不明瞭な点を問い正すと、とぼけたような返事をしてきた。全く事情が掴めない取材となった。取材の最後に、社長からは「マスコミは面白可笑しく表現するので嫌いだ」とぬかしてきた。工場の内部の見学も断られ、まともな取材とはいえない結果となった。予めこちらの意向を伝えてあり、見本誌も送ってあるのに取材には全く非協力的であり、私の取材を小馬鹿にしたような態度であった。
 しかしながら、宇和島まで出張したため記事をボツにする訳にはいかない。あちこちから資料を集め、なんとか読んでも可笑しくない内容に仕上げた。酷い仕打ちをする社長であった。取材に協力できなのなら、事前に断ってくればいいはずである。宇和島まででかけて無駄足を踏んだばかりか、嫌な思い出となった。
 その後、この会社と社長が気になったので関係者などから情報を入手してみた。すると、社長の因業な性格などが判ってきた。相当に歪んだ性格を持っているようで、共同経営していた実弟とは経理などのトラブルで裁判ざたとなり、骨肉の争いが続いているらしい。私ばかりに酷い仕打ちをしているのではなく、親族でも極めて冷酷な仕打ちをしていたらしい。また、花火のシェアーでは国内80%を占めて日本一、と自慢していたが、これも怪しいものであり、売上は年々低下しているらしい。銀行からの借入も限度になっているようで、会社の内情を知られたくないために私に工場内を見させなかった、ということが判ってきた。
 その反面、マスコミ操作は昔から上手いようであり、地元の新聞の取材では好成績であり、業績が伸びているような説明をしていたようだ。現に地元紙には、優良地場産業であってシェアー日本一である、というインタビュー記事が何度も掲載されていた。私の取材では、単なる契約のフリーライターと軽く見たのではなかろうか。マスコミを手玉に取って、利用できる相手には調子良く、そうでない者には冷淡な態度を取ってきたのであろう。
 こんな悪質な性格が捩じれた社長の会社は早く無くなって欲しい。今でもこの会社の名前を見つけると、あの取材の時の不快な思いが沸いてくる。
2005年5月7日

Posted by hibi at 2005年05月07日 23:41
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