2005年04月06日

●零細企業の社長の性格は

世間からは吹けば飛ぶような零細企業の社長を観察してきた。
意外にも人情家では無く、ドライな人達ばかりだった。

 訪問して取材した企業の規模は、小さいのは夫婦二人で従業員がゼロの極零細企業から大きいのでは従業員50名の企業までの幅があった。現在の日本では中小企業の規模を規定する基準が無いため、世間ではこのような規模の企業をひっくるめて中小零細企業と呼ぶのであろう。しかし、従業員が50名もいる企業となれば、社員にはそれぞれに役割が分担され、大企業とおなじように組織化されている。これに対して、従業員が数名以下であれば、社長は親方で従業員が若い衆といった構図となる。事務室の隅にいても社内全体が見渡せて、社長が声をかけると全社員が直ぐに集合する、といった感じである。従業員数が少なく、社屋も自宅を改造したようなものであれば、家族的な雰囲気となっている。2、30年前の町工場、個人企業の格好であろう。
 家族的な企業であることから、社長の性格、性癖も人情家であって、浪花節的な人ではなかろうかと想像できる。私もこの取材を始める前は、零細企業の社長は、映画『男はつらいよ』の出てくるタコ社長のような性格ではないかと予想していた。少しおっちょこちょいであり、腕は立つのだが営業が下手であり、皆から好かれるのだが会社は何時までも大きくならない。(余談なのだが、映画に出てくるタコ社長は、会社とトラさんの実家がつながっていて、庭先からトラさんの茶の間に上がり込んでくるのが何時ものパターンだ。タコ社長の会社は一度も映画の中に映し出されていない不思議さがある。)
 しかし、取材を始めてから判ったのは、零細企業の社長は人情家でも浪花節的性格でもなく、ドライであり、緻密であった。取材前に予測していた社長の性格とは全く違っていた。私だけでもなく、一般の人達も取材前の私と同じような先入観を持ってみえるのではなかろうか。零細企業の社長は社員思いの人情家であって、義理と人情には厚い浪花節な心を持っているというのは、映画、小説などで創作されたものではなかろうか。
 実は、私は取材した先の社長には必ず年賀状を出すことにしている。取材のお礼とその後の経過を知るための目的で、現在もこの習慣を続けている。だが、何度年賀状を出しても、返事が来るのは半分程度である。私の取材にはビジネスでの出来事として、ドライに割り切っているのである。取材中に、『この社長は随分冷淡な性格だな。』と感じ取られるときもあり、零細企業の社主だからといって人情家でも情熱家でもなかった。社長の言葉の端で『これは相当にしたたかな人だな。』と感じることもシバシバあった。
 考えてみるとその通りであり、零細企業の社主だからといって、浪花節的にドンブリ勘定で経営をしていたならば何時かは行き詰まってしまう。しかも、取材した企業は小さいといえども同業者の中では成功した人達ばかりなのである。大企業の社主にも劣らない程の冷酷さ、大胆さ、金銭のシビアさを持ち合わせなければここまでやって来られないのであった。金銭のシビアさについては後で解説するとして、物事を冷やかに観察する目があり、決断する時は極めて冷淡であったことは特筆に値した。
 2005年4月5日

Posted by hibi at 2005年04月06日 00:21
トラックバックURL

このエントリーのトラックバックURL:
http://www.nichederich.com/cgi/mt-tb.cgi/49

コメント