2005年04月16日
●連載第1回

連載で初めてのため、ニッチの解説をしました。(長文注意)
【月刊 信用組合 4月号 第1回】
●ごあいさつ
今月から、「ニッチでリッチ」を連載することになりました。このタイトルには、ニッチ(隙間)のマーケットで販売する商品を製造して、貴方の会社もリッチ(金持ち)になりましょう、という期待を込めました。
「ニッチ」とは耳慣れない言葉ですが、元来は壁に穿った小さな窪み、という意味でした。それが転じて現在では、小さな企業、狭い業界を指すことが多くなりました。新聞などの記事には、ニッチ産業、ニッチ商品、ニッチ戦略のような用例があります。このシリーズでは、小さなマーケットに向けて特殊な商品を製造している、目立たないが健全な経営をしている零細企業をニッチ企業と呼び、彼らが成功した要因を分析します。
ニッチ企業は製造業の分野に多く見かけられますが、生産工場を持った企業だけに狭く限定することはありません。昨今は零細企業であっても設計、企画を自社で行い、製造を他社に委託するファブレス会社も珍しくありません。資金力があって販売ルートを確保しているのであれば、企業の規模は小さくとも委託生産した商品を自社で流通させることができるからです。このため、このシリーズは製造業に関わっている方だけではなく、流通業やサービス業に従事されている方もお読み下さるようお願いします。
●日本の製造業の現状と将来
新聞紙面などではトヨタや日産が史上最高の利益を上げていると報道していますが、それはほんの一部であり、国内の大部分の製造業は商品が売れないため青息吐息です。その原因は東南アジア、特に中国から安い商品が怒濤のように押し寄せているからです。ロケットや核弾頭は輸出してきませんが、衣類、雑貨などの軽工業品を始めとしてテレビ、パソコンなどの電気製品までのあらゆる消費財、耐久財が中国から輸入されてきています。少し前までは品質が劣っていたのですが、技術進歩が進んで国産と変わらぬ品質となってきたので、消費者は安い中国製品を選ぶことになります。
大量生産労働集約型の製造業では人件費が大きなコストとなります。中国では日本の二十分の一の人件費であり、同じ品質、同じ機能の商品を安く製造できるのは当たり前のことです。日本の企業も安い人件費に魅力を感じて、国内の工場を閉鎖して中国に乗り込んでいます。現地の日系工場から安い商品が輸入されるため、国産品は売れずさらに悪循環となっています。
福助、世界長、カネボウといった老舗でもあっても軒並み左前となり、それぞれが産業再生機構の傘下に入りました。大企業でさえこんな有り様ですから、大企業の下請けだった中小零細の町工場は倒産や整理によって消えています。このような社会の変化に対して、日本の中小零細企業は進路を転換しなければならない時期にあります。だが、どのような方策を立てたら良いか、先が見えないのが実情でしょう。
●ニッチは零細企業の最後の砦
全ての中小零細企業が外国製品によって苦しんでいる訳ではなく、元気の良い中小零細企業もあちこちに見られます。それらの多くは大企業が手を出さない(出せない)隙間商品を製造しているニッチ企業です。隙間商品とは、年商が小さくて余り汎用性の無い商品のことを指します。売上高が少ないのですが利益率は非常に高く、場合によっては価格の九十%が粗利のこともあります。
利益率が高いのは、ほとんどのニッチ企業が業界でオンリーワン企業であることが多く、市場の要求とは裏腹に価格を自由に設定できるからです。また、隙間商品はプロが必需品として使うものが多く、機能の特殊性や信頼性のために高くても納得して購入してくれるからです。
私は、これから日本で生き残ることができる中小零細企業は、モノ造りに特化したニッチ企業ではないか、と考えています。バブルの時代には、投資やリゾートなどの第三次産業が持て囃されましたが、そんな浮ついた企業は今となっては跡形もなく消えています。人間が生活していれば必ずモノを消費します。生活に関わりのあるモノ造りであれば、時代や景気に左右されず、企業は継続することができます。モノ造りは産業の根幹をなすものであり、地味ではあっても決して廃れることはありません。
モノ造り企業の長所は、都会でなくとも地方で起業できることです。昨今のITの発達により、通信インフラが整備されてきていて、全国どこでも同じ料金で電話をかけることができるようになりました。また、製造した商品は宅配便により、全国どこでも翌日には配送させることができます。地方に在住する零細企業であっても、都会から遠距離であることは昔ほどのハンディとはならなくなりました。地方の零細企業でも、隙間商品をヒットさせたなら、大きな利益を得られる夢が持てるようになりました。
●ニッチ企業の取材
ニッチ企業は景気の影響を受けることが少なく、高い収益性を保っています。しかし、新聞、経済誌などでは滅多に紹介されることはありません。マスコミなどでニッチ企業が社会一般に知られてしまったら、儲かるシステムを競争相手に教えることになり、オンリーワンとしてのメリットが無くなるからです。また、マスコミは、経営が優れていても小さな零細企業を取材したがりません。大量の広告により知名度が高く、誰でもが知っている大企業を取り上げた方が読者受けするからです。
次回から、世間には知られていないニッチ企業を取材し、どのように隙間商品と出会って成功したか、を詳しく報告します。私が取り上げる企業は、珍しい商品や面白い商品を製造している企業ではなく、次の条件に適合していることが必要となります。
①一種類の商品で年間の売上高が三億円以下である。この程度の売上高であれば、市場が狭くて大企業が乗り込んでくる恐れがないからです。
②従業員が五十名以下である。この人数の中小零細企業が国内で数が多く、同じ規模の企業が経営方針を参考にするための事例としては一番相応しいからです。
③オリジナルの完成品を製造している。部品の製造ではなく、自社ブランドの商品を製造していることが利益率を高めることができるからです。
③職人技で製造されたものではない。職人が辞められたなら商品が製造できなくなるのでは企業が永続しません。ローテクで誰でもが製造できる商品でなければなりません。
皆様の会社をニッチ企業として転身される際に、私の記事が成功のためのヒントとしてお役に立つことを期待しています。
2005年04月14日
●惣菜・弁当専門展 その3


新製品のカツ丼です。ゲップが出るほど試食できます。
写真上。
今年から発売されるという『冷凍カツ丼』。材料を鍋に入れてレンジで加熱し、熱くなったところで溶き卵を入れると、3分でカツ丼が完成します。バイトでも誰でも調理できるのが特徴。飲食店でカツ丼を注文すると、裏の調理場では袋を破いて冷凍食材を加熱しているのかと想像すると、何だか悲しくなってきた。もう少ししたら、『お袋の味』といった町の食堂でも、全ての料理が冷凍食材になるのだろうか。
写真下。
豚カツの試食です。豚肉に衣を付けて冷凍した食材をフライにしたもの。色々な種類の豚カツがあり、試食は自由です。デパ地下でも試食をさせてくれますが、食品が少量であったり、特定の店に限られてます。試食目当てに来店する客がいるからでしょう。しかし、見本市ではどのブースでも試食は歓迎であり、何回試食しても文句は言いません。商談によっては大量に購入してくれる可能性があるのですから、出展者は必死に試食を勧めてくれます。試食大歓迎、なんていうのは見本市だけでしょう。
この日は、試食だけで満腹となり、昼食は食べられません。なお、フライ物が多いので、油気のあるゲップが出たのが印象的でした。
2005年4月14日
●惣菜・弁当専門展 その2


デパ地下ではありません。見本市会場です。
写真上。
デパート地下の食品売り場ではありません。惣菜・弁当専門の『ファベックス2005』の会場です。実際の店舗と同じようなショーケースを並べ、食材を展示しています。ここはパン屋向けの食材ですが、パン生地が冷凍となってます。
写真下。
ベトナム産の冷凍食品。業務用の冷凍食品で、ベトナムで生産されたマンゴー、カボチャ、ほうれん草などがパック詰めされてます。スーパーなどでは絶対に見かけられない珍しい食材もありました。
2005年4月14日
●惣菜・弁当専門展

惣菜の専門展である「ファベックス」の会場です。
今週開催された『ファベックス2005』は、外食産業向けの惣菜、弁当の業務用食材の見本市である。食材専門の見本市としては、『国際食品・飲料展(フーデックス)』があるが、こちらの見本市は弁当店や惣菜店、飲食店向けの小規模なものである。皆様が街の弁当店、飲食店で注文されているほとんどの食材が出展されていた。
ありとあらゆる種類の食材が見受けられ、それらは冷凍であったり、パック詰めであったりして、半加工した状態のものばかりである。味付けや調理が済んでいて、油で揚げるか加熱するかで直ぐに食べられるものばかりである。要するに、電子レンジやフライヤーがあれば誰でも美味しそうな惣菜を作ることができる。飲食店で注文すると、湯気を出した料理が美味しそうにテーブルに出されてくるのだが、実は調理された冷凍食品なのである。こんな料理まで冷凍食品か、と驚かされることもあります。飲食店の裏側を見るようであり、日頃食べている料理はこんな形で供給されているか、と想像するとガッカリする。なお、加工食品の特徴から、油で揚げる料理が目立ち、ハンバーガーのような脂肪が多い料理に偏ってます。冷凍食品を食べつづけると身体に良くないのでは。
2005年4月14日
●5月からニッチ企業養成講座が始まります。
にいがた産業創造機構のご協力により、5月からニッチ企業を目指す人たちへの講座が開設されます。多分、零細企業主を養成するような講座は国内で初めてではないかと思います。『夢は小さいが、利益は大きく』がこの講座のモットーです。ホリエモンのように数百億円なんて大きな金額は期待しないが、年収で三千万円あればそれで満足という人たちにピッタリの内容です。派手な人生ではないが、気楽に生きていきたい性格の人に合っていると思います。詳細と申し込みは下記のホームページをご参照下さい。
2005年04月06日
●零細企業の社長の性格は
世間からは吹けば飛ぶような零細企業の社長を観察してきた。
意外にも人情家では無く、ドライな人達ばかりだった。
訪問して取材した企業の規模は、小さいのは夫婦二人で従業員がゼロの極零細企業から大きいのでは従業員50名の企業までの幅があった。現在の日本では中小企業の規模を規定する基準が無いため、世間ではこのような規模の企業をひっくるめて中小零細企業と呼ぶのであろう。しかし、従業員が50名もいる企業となれば、社員にはそれぞれに役割が分担され、大企業とおなじように組織化されている。これに対して、従業員が数名以下であれば、社長は親方で従業員が若い衆といった構図となる。事務室の隅にいても社内全体が見渡せて、社長が声をかけると全社員が直ぐに集合する、といった感じである。従業員数が少なく、社屋も自宅を改造したようなものであれば、家族的な雰囲気となっている。2、30年前の町工場、個人企業の格好であろう。
家族的な企業であることから、社長の性格、性癖も人情家であって、浪花節的な人ではなかろうかと想像できる。私もこの取材を始める前は、零細企業の社長は、映画『男はつらいよ』の出てくるタコ社長のような性格ではないかと予想していた。少しおっちょこちょいであり、腕は立つのだが営業が下手であり、皆から好かれるのだが会社は何時までも大きくならない。(余談なのだが、映画に出てくるタコ社長は、会社とトラさんの実家がつながっていて、庭先からトラさんの茶の間に上がり込んでくるのが何時ものパターンだ。タコ社長の会社は一度も映画の中に映し出されていない不思議さがある。)
しかし、取材を始めてから判ったのは、零細企業の社長は人情家でも浪花節的性格でもなく、ドライであり、緻密であった。取材前に予測していた社長の性格とは全く違っていた。私だけでもなく、一般の人達も取材前の私と同じような先入観を持ってみえるのではなかろうか。零細企業の社長は社員思いの人情家であって、義理と人情には厚い浪花節な心を持っているというのは、映画、小説などで創作されたものではなかろうか。
実は、私は取材した先の社長には必ず年賀状を出すことにしている。取材のお礼とその後の経過を知るための目的で、現在もこの習慣を続けている。だが、何度年賀状を出しても、返事が来るのは半分程度である。私の取材にはビジネスでの出来事として、ドライに割り切っているのである。取材中に、『この社長は随分冷淡な性格だな。』と感じ取られるときもあり、零細企業の社主だからといって人情家でも情熱家でもなかった。社長の言葉の端で『これは相当にしたたかな人だな。』と感じることもシバシバあった。
考えてみるとその通りであり、零細企業の社主だからといって、浪花節的にドンブリ勘定で経営をしていたならば何時かは行き詰まってしまう。しかも、取材した企業は小さいといえども同業者の中では成功した人達ばかりなのである。大企業の社主にも劣らない程の冷酷さ、大胆さ、金銭のシビアさを持ち合わせなければここまでやって来られないのであった。金銭のシビアさについては後で解説するとして、物事を冷やかに観察する目があり、決断する時は極めて冷淡であったことは特筆に値した。
2005年4月5日