2005年03月26日

●4月から新連載が始まります。

昨年より中断していた連載が再開されます。
宜しくお願いします。

昨年(2004年)まで日経ベンチャー誌に『ニッチのつわもの』というタイトルで連載を続けていましたが、9月号で連載打ち切りとなりました。本来ならば2年間の連載予定でしたが、諸般の事情で中止となり誠に残念でした。前回の月刊φ(ふぁい)と同じように、2年続けて取材したなら連載をまとめて一冊の単行本にする心づもりでした。私としては残念至極といった感じです。
 しかし、4月からは新しい媒体で連載をすることが決まりました。内容は今までと同じようにニッチ企業の取材であり、隙間商品の紹介ということになります。媒体名は『月刊信用組合』となり、全国信用組合中央協会から発刊されています。市販されている雑誌ではありませんが、全国にある信用組合の本支店には必ずら配付されております。お近くの信用組合でご覧になれます。
 これから毎月面白いニッチ企業を尋ねてみるつもりです。ご期待下さい。
2005年3月26日

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2005年03月22日

●零細企業の応接室では

取材したのは何時も事務室であった。
零細企業には応接室や社長室は相応しくないのであろう。

 今までに、訪問して取材した企業は36社である。取材では社長と面談するのであるが、「社長室」とか「応接室」などという立派な設備を持った企業は極く僅かであった。たまに豪華な応接室を設えた企業もあったが、それらは従業員が数十人の規模であり、自社ビルを保有している企業に限られた。従業員が十人以下の企業であっては社長室もなく、事務室の隅の方で事務机を挟んで取材することもあった。利益が出ていないので社長室が無い、という理由ではない。多くの取材先は高収入を得ているはずであり、社長室を作ろうと思えばすぐにできるはずである。だが、社長自身がナッパ服で作業現場に携わる零細企業では、「社長室」「応接室」は無用の長物なのであろう。隣の部屋で従業員が油にまみれて仕事をしているのに、社長だけが背広を着て社長室にいるようでは社員はやる気がなくなるはず。また、世間で知られていない零細企業を取材にくるマスコミもいないので、社長室を作る必要性がないのであろう。
 零細企業は質実剛健がモットーである。社員が少ないし、売上げも少ないのであるから、豪華な社長室を持つ必要や理由はない。もし、従業員が十数名程度の規模の企業であって、三十畳の広さの部屋に本革製のソファーを並べた応接室を持っていたならおかしなものであろう。そんな企業は、虚業集団か詐欺会社と考えて間違いないであろう。応接室の豪華さで客を驚かし、いかにも利益が出ているかのように装うためであろう。会社の業績が悪いのに、豪華な応接室を持つ企業にはまともなものはないであろう。
 そんなことは判っているつもりの私でも、工場の隅にある事務室の土間で取材するのはやっぱり抵抗があった。かっこうはつけなくとも良いが、静かに話ができる部屋を持って欲しい、というのが本音であった。取材している隣が事務机であるため、電話のベルの音が耳に入ると取材に集中しにくいのである。或る社長には、取材が終わってから「来客のために豪華ではなくとも、静かに面談できる部屋を作られた方が来客のためによろしいですよ」と進言したことがあった。社長は、「私は今まで気づかなかったが、商談にくる来客には応接室が無いことで不便に感じている人がいることが判った。今後の参考にします。」と仰った。
 事務室の隅での取材では、大抵は社長一人と面談することになるが、たまに奥さんと二人から話を聞くこともあった。二人で会社を興し、奥さんが専務であって経理などを司っていることから、二人からお聞きするするのが都合が良いからであろう。結婚してから二人で会社を切り盛りされてこられたのである。創業時の苦労話などを聞くことができ、微笑ましいことである。
 その逆に、大人数で取材をしたこともあった。高崎市にある焼却炉のメーカーを取材した時は、雑誌社が取材にきたというので社長が張り切っていて、専務以下技術陣を揃えて6名を相手にして取材することになった。会議室で6名を相手にして質問し、それの回答を聞くのである。こんな取材では、あちこちから回答が出て、それぞれが異なった意見を述べるのでまとまりがつかない。零細企業の取材では、社長一人から話を聞くのが一番である。
2005年3月21日

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2005年03月21日

●取材で注意したこと

取材では社長から説明を受けることになる。
社長との面談では誤った情報を受けないように注意した。

 取材では、商品開発については次のような順序で質問することにした。
①どのようなキッカケで隙間商品を開発することになったのか。
 ②隙間商品を開発して試作品を完成するまでの経緯はどのようなものであったか。
 ③試作品を完成するときの最重要な点はどこであったか。
 ④隙間商品を販売するためにはどのような行動をしたか。
 ⑤販売ではどの点が困難であったか。
 ⑥これからどんな商品を開発していくか。
 この取材が終わったなら、会社についての質問をする。
 ⑦どのような理由で会社を興したか。或いは、先代から引き継いだか。
 ⑧隙間商品を製造するまではどのような仕事をしていたか。
 ⑨会社の経営ではどのような点で苦労してきたか。
 ⑩これからの経営計画や将来の夢はどのようなものか。
 このような一連の質問と回答を行うことにより、隙間商品の開発と会社の経営内容が明らかになってくる。取材前に質問事項をメモ書きしておき、順番に質問することで必要事項を漏れなく聞き出すことができる。取材の最初の頃は手間取ったが、何回も取材を重ねていくうちに聞き取る要点が判るようになった。社長と始めて会って、その場の雰囲気や社長の個性に合わせて、質問事項や内容を適当に変えたりしていくこともできるようになってきた。
 一つの会社について全ての話を聞き取るには、だいたい3時間前後の時間で完了する。これよりも長い時間をかけて聞き取りしても、それ以上は大した話は聞き取れない。また、社長の時間を拘束するにも限度があるため、3時間程度が取材に丁度良いと思われる。何日もかけて聞き取りしても、結果としては同じ程度の結論しか得られないであろう。この程度の時間が、質問を受ける社長も飽きがこなくて良いのではなかろうか。
 3時間程度の面談であるが、社長が生きてきた人生の経路を聞き出すことができる。苦労人であった社長はその苦労してきた経過が、才覚のある社長はその才覚をどこで活用してきたか、などが手に取るように理解できる。雑誌掲載のための取材であることから、それぞれの社長はホラを吹くわけでもなく、淡々を人生を語ってくれる。そうした話を聞くことで、その社長自身の人格や個性を知ることが出来る。
 ここで注意しなければならないのは、社長の解説がどの程度まで信憑性があるか、である。その会社の商品がオリジナルであるかどうか、市場占有率がどの程度であるか、売上高が本当であるかどうか、などである。往々にして、自社商品は拡大して解釈し易いものであり、ホラではないが間違った説明をする社長も見受けられる。このために、予め入手しておいた帝国データーバンクの企業情報が役に立つ。実は、取材前に企業情報を何度も読み込み、その会社の内部事情を頭に入れておくのである。社長の説明の内で、企業情報を大幅にかけ離れた事項が出てくると、『これは奇怪しいな』と警戒し、何度も同じ質問をすることにした。すると、社長の記憶違いであるか、社長自身がホラを吹いているのかが判別することができた。ホラを吹いている場合には、「これは注意した方がいいな」と心の中で考えつつも、その取材の最中では黙っている。後で、原稿を作成するときに修正すば良いからである。
 誠実な性格の社長では、企業情報に極めて近い数値を回答してくれるが、中には売上高などを企業情報のデーターよりも水増しして話す社長もいる。雑誌に掲載された時に、世間に恰好良く見せようと企んでいたのであろう。そんな小細工は直ぐにバレることが判らない社長もいるようだ。取材で注意しなければならないのは、現実の数値が正しいかどうかである。社長の個人的な説明を真に受けて、誤った(ホラのついた)数値を雑誌に掲載したのでは、読者を騙すことになる。私の取材では、この点については細心の注意を払ったつもりである。
 2005年3月21日

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2005年03月18日

●健康博覧会の不思議な商品 5

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 『健康博覧会』という見本市に出掛けた。博覧会と名付けた見本市は珍しいもので、商品を広く見せるといった意味があり、昨今はあまり使われていない。健康に関する商品、サービスの見本市であることから、健康機器、健康食品などの医薬品、医療ではない業者が出展していた。見本市のタイトルからして変わっていたが、出展してある商品はすざましいものがあった。こんな商品、サービスがあったのか、と驚かされるようなものばかりである。『不思議だ』とか『珍しい』といった感嘆が出るのではなく、『怪しげな』とか『奇怪な』といった表現が適切なものが見られた。あたかも、夜店に並んでいる不可解な商品に近いようなものがあった。
 この見本市に出展している商品などの全てがふざけている、というのではなく、一部の出展者の商品が該当しただけである。だが、『健康』というものは、医療とは違ってその個人の心の持ちようである。『気は心』なのであることから、どんな商品であってもその人が健康になるのであれば、それは商品なのであろう。
 ⑤ 宇宙パワーを呼ぶ置物
 四角錐をした鏡の回りに銀色の球が置いてあった。この四角錐がモーターで回転し、宇宙からのパワーをかき集めるのだという。一昔前に流行ったピラミッドパワーと良く似ている。三角形をした尖った先端には宇宙からのパワーが集められ、その場のエネルギーが上昇するという。これだけの置物なのだが、12万円とのこと。結構いい値段です。イワシの頭も信心から、という諺があるので、信じられる者にとっては信じられるのでしょうか。
平成17年3月18日

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●健康博覧会の不思議な商品 4

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 『健康博覧会』という見本市に出掛けた。博覧会と名付けた見本市は珍しいもので、商品を広く見せるといった意味があり、昨今はあまり使われていない。健康に関する商品、サービスの見本市であることから、健康機器、健康食品などの医薬品、医療ではない業者が出展していた。見本市のタイトルからして変わっていたが、出展してある商品はすざましいものがあった。こんな商品、サービスがあったのか、と驚かされるようなものばかりである。『不思議だ』とか『珍しい』といった感嘆が出るのではなく、『怪しげな』とか『奇怪な』といった表現が適切なものが見られた。あたかも、夜店に並んでいる不可解な商品に近いようなものがあった。
 この見本市に出展している商品などの全てがふざけている、というのではなく、一部の出展者の商品が該当しただけである。だが、『健康』というものは、医療とは違ってその個人の心の持ちようである。『気は心』なのであることから、どんな商品であってもその人が健康になるのであれば、それは商品なのであろう。
 ④ エネルギー椅子
 何だかよく分からない椅子であった。この椅子に座ると、周囲にある生命のエネルギーを集めて座っている体に集中させるのだそうだ。生命のエネルギーが体に入ると温かくなり、やる気が出てくるのだそうだ。その他には六角形をした円盤などがあって、このマークが生命のエネルギーと関連していると説明されたが、全く意味が判らなかった。説明会に参加すれば誰でも理解できるように解説します、とパンフレットを貰ったのだが、何だか洗脳されるような気がして退散した。説明している人達は至極真面目な顔をしていたが。
平成17年3月18日

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●健康博覧会の不思議な商品 3

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 『健康博覧会』という見本市に出掛けた。博覧会と名付けた見本市は珍しいもので、商品を広く見せるといった意味があり、昨今はあまり使われていない。健康に関する商品、サービスの見本市であることから、健康機器、健康食品などの医薬品、医療ではない業者が出展していた。見本市のタイトルからして変わっていたが、出展してある商品はすざましいものがあった。こんな商品、サービスがあったのか、と驚かされるようなものばかりである。『不思議だ』とか『珍しい』といった感嘆が出るのではなく、『怪しげな』とか『奇怪な』といった表現が適切なものが見られた。あたかも、夜店に並んでいる不可解な商品に近いようなものがあった。
 この見本市に出展している商品などの全てがふざけている、というのではなく、一部の出展者の商品が該当しただけである。だが、『健康』というものは、医療とは違ってその個人の心の持ちようである。『気は心』なのであることから、どんな商品であってもその人が健康になるのであれば、それは商品なのであろう。
 ③ 暖房寝袋
 キルティングの布地を袋状に縫ってミノムシのような寝袋にして、内部には温水を循環させるパイプを回してある。下半身を袋に入れると、温水によりポカポカと温かくなるそうだ。布地には効能がある鉱石の石を縫い込んであるため、温泉に入っているような効果があるそうだ。しかし、価格が26万円とは少しお高いのでは。これなら電気毛布にくるまっていれば同じではなかろうか。
平成17年3月18日

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●健康博覧会の不思議な商品 2

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 『健康博覧会』という見本市に出掛けた。博覧会と名付けた見本市は珍しいもので、商品を広く見せるといった意味があり、昨今はあまり使われていない。健康に関する商品、サービスの見本市であることから、健康機器、健康食品などの医薬品、医療ではない業者が出展していた。見本市のタイトルからして変わっていたが、出展してある商品はすざましいものがあった。こんな商品、サービスがあったのか、と驚かされるようなものばかりである。『不思議だ』とか『珍しい』といった感嘆が出るのではなく、『怪しげな』とか『奇怪な』といった表現が適切なものが見られた。あたかも、夜店に並んでいる不可解な商品に近いようなものがあった。
 この見本市に出展している商品などの全てがふざけている、というのではなく、一部の出展者の商品が該当しただけである。だが、『健康』というものは、医療とは違ってその個人の心の持ちようである。『気は心』なのであることから、どんな商品であってもその人が健康になるのであれば、それは商品なのであろう。
 ② チタンのフライパン
 この兄ちゃんは、一人でチタン製のフライパンを売っていた。チタンの素材が健康に良いとの説明であった。だが、同じようなチタン製のフライパンはデパートでは数千円で売られているのに、この商品は44000円であった。何でこんなに高くなるのか不思議だった。それよりも、殺風景な机の上にチタン製のフライパンを4個だけ置いて、パンフレットもなくて販売している兄ちゃんの方が不思議だった。この人は、本気でフライパンを販売する気があるのだろうか。
平成17年3月18日

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●健康博覧会の不思議な商品 1

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 『健康博覧会』という見本市に出掛けた。博覧会と名付けた見本市は珍しいもので、商品を広く見せるといった意味があり、昨今はあまり使われていない。健康に関する商品、サービスの見本市であることから、健康機器、健康食品などの医薬品、医療ではない業者が出展していた。見本市のタイトルからして変わっていたが、出展してある商品はすざましいものがあった。こんな商品、サービスがあったのか、と驚かされるようなものばかりである。『不思議だ』とか『珍しい』といった感嘆が出るのではなく、『怪しげな』とか『奇怪な』といった表現が適切なものが見られた。あたかも、夜店に並んでいる不可解な商品に近いようなものがあった。
 この見本市に出展している商品などの全てがふざけている、というのではなく、一部の出展者の商品が該当しただけである。だが、『健康』というものは、医療とは違ってその個人の心の持ちようである。『気は心』なのであることから、どんな商品であってもその人が健康になるのであれば、それは商品なのであろう。
 ① 精力剤
 ベッドに置いてあるのはダッチワイフである。この薬を飲めば毎夜が楽しくなります、ということを視覚から理解させようとしたディスプレーである。明るい照明の下でダッチワイフを眺めると、猥褻な感じよりも、可愛らしさが出てくる。
平成17年3月18日

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2005年03月15日

●これで作った炒飯は美味しいだろうか

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自動炒飯製造機だそうだ。売れるかどうか疑問だ。
これからも面白い新商品を順次掲載していきます。

 『ホテルレストランショー』でみかけた不思議な機械。中央には回転する中華鍋があり、鍋の中には角のようなかき混ぜ棒とへらが横から飛び出している。鍋に食用油と飯、具を入れて回転させると、かき混ぜ棒が回転して飯をほぐすことができる。飯を鍋に投入するだけで、自動的に炒飯が製造できるのだそうだ。
試食したが飯がベッチャリして美味くなかった。隣で試食していた中国人も美味くないような顔をしていた。誰でもがマニュアルを見ながら炒飯を製造できるのが売り物だそうであるが、食事を楽しむには不向きではなかろうか。
 すでに大阪の飲食店では稼働しているそうで、一般には4月から販売するそうだ。一応は炒飯が製造できるので、弁当屋などの味では勝負できない飲食店なら購入するのではなかろうか。
平成17年3月15日

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2005年03月12日

●取材では全国の僻地にでかけることになった

取材先の了承を得ると具体的な取材が開始された。
しかし、全国のニッチ企業はとんでもない場所にあった。

 特異な隙間商品を製造或いは販売しているニッチ企業の取材の手順は、すでに説明した。まず、取材候補の企業を見つけ、企業信用情報により取材に適するかどうか判断する。取材に適すると決定したなら取材依頼書をその企業に送って打診し、それに企業が対応してくれることになってやっと取材が始まる。取材先を決めるまでが一苦労あり、相手企業が協力しなければ原稿ができない。結構ややこしい仕事なのである。
 取材候補の企業が了承してくれたなら、そこでやっと私が取材できることになる。取材では、遠距離であっても電話取材などと手抜きはしない。企業の本社がある場所まで出向き、会社の建物や工場内部を見学して本当に活動しているかどうかを確認しながら取材する。この取材では、北は山形県酒田市、南は長崎県大村市まででかけた。実際に会社の内部を見学すると、その会社がどのような状況にあるのかが肌で感じ取ることができる。活力のある会社では社内が賑やかであり、どことなく明るい。少し落ち目になった会社では、社内に淀んだ空気が流れている。このような雰囲気は見本市などで商品を見ただけでは判らないものである。取材では必ず会社にでかけ、現在その会社がどのような状況にあるかを嗅ぎつけることににした。三流経済雑誌などでは、出張の手間を省くため電話で聞き取りし、適当に話をまとめて原稿にするところもあるらしい。そんな取材であっては取材先の企業がどんな状況にあるかは把握できるはずがない。良心的な原稿を作成するためには、必ず現地を見学し、社長の話だけでは得られない社内の雰囲気を入手する必要がある。
 取材のためにニッチ企業を訪問することになるのだが、簡単に訪問できる場所にあればよいのだが、現実はそうでもないのである。地方にある会社で、空港の近くや特急の停車する駅の近くに立地すれば日帰りも可能なのだが、そんな会社は少なかった。2時間に1本の列車しか運行しない鉄道線を利用しなければたどり着けない場所にある会社も多かった。東京から一番時間がかかった取材では、愛媛県城辺町にある会社にでかけた時であった。松山空港までは飛行機で1時間強であったが、そこから特急で宇和島まで移動し、さらにローカルバスに乗り継いで2時間かかった。兵庫県三木市の会社を取材したときも似たようなものであった。加古川駅までは新幹線であったがそこからは1時間に1本のローカル鉄道であり、無人駅から会社までは田んぼの中の細道をひたすら歩くだけであった。ニッチ企業にたどり着くのは難行苦行の連続であった。
 しかし、よくよく考えてみると、ニッチ企業にとってみれば雑誌社の取材に便利な場所に創設したのではない。隙間商品を製造するのに適した場所に会社を創設しただけのことである。土地代が安く、騒音を出しても回りの住宅から苦情のこない場所を選んでいるのである。大企業であれば大量生産するため、部品の納入、製品の搬出などで昼夜を問わずトラックが出入りし、物流の便利さが立地に大きな要素を占めてくる。しかし、隙間商品はそれほど数多く生産するのではないため、大企業と違って高速道路や幹線道路に接近する必要はないのである。こんな理由で、ニッチ企業は山奥や辺鄙なところで運営されているのであろう。交通の便が良いからといって隙間商品が売れるとは限らないのである。
 結果として、私は全国の僻地を旅行したことになったが、今となっては楽しい思い出になった。
 2005年3月11日

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2005年03月09日

●見本市で出会った読者

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私の著作を読まれ、見本市に出店された読者。
脱サラして始めての出店とのこと、ご健闘を祈ります。

 3月の見本市『ホテルレストランショー』に出店していた櫻井さん。某二輪メーカーを脱サラし、ワサビから抽出した成分を主原料とする消臭剤の販売権を獲得した。見本市に出店して、これからホテル、旅館に消臭剤を販売していかれるのだそうだ。
 拙著『下請けやめてニッチをめざせ』を読まれ、ニッチ企業の面白さに目覚めたそうだ。それがキッカケで脱サラをされた訳ではないそうだが、大企業に見切りをつけて個人会社を立ち上げられたそうである。さらに、拙著『大商談』を読まれて、見本市に出店するメリットやポイントを学ばれたそうだ。愛読していただいて有り難う。作者冥利に尽きます。
 今後も見本市会場で、拙著を読まれた方と出会うのを楽しみとしています。
平成17年3月9日

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●ニッチ企業は宝くじのようなものか

ニッチ企業として成功するのは大変な困難さがあるようだ。
だが、参加しなければ成功はしない。

 かってニッチ企業として取材したことのある社長と再会した。その社長は、『隙間商品を見つけてそれを育て、販売を軌道に乗せるのは大変だった。隙間商品を専業にするニッチ企業になるのは宝くじで1等に当たるような難しさがある。これからニッチ企業を目指す方には失礼だが、あまり確率のよいものではないので、隙間商品を開発するのはお勧めしません。』といった意味のことを言われた。
 なるほど、社長の仰るとおりニッチ企業として成功するのは難しい。この社長の会社は隙間商品として市場をほぼ独占しており、ニッチ企業としてはトップクラスである。中小企業としては大成功した分類に属することは間違いない。しかし、そこに至までには、社長の並大抵の努力だけではたらず、運や環境にも大きく左右されている。このため、社長が『ニッチ企業になるのは宝くじを当てる位に難しいよ』と仰るのは説得力がある。すでに社長自身が体験されてきたことであるから、説得力もある。
 なるほど、宝くじの1等に当選する確率は三百万分の一か五百万分の一であり、当選するのは至難のわざである。しかし、宝くじには千万円の2等賞や百万円の3等賞もある。うまくいけば、ダブルチャンスで残念賞の五十万円もあるではないか。宝くじであっても大当たりと小当たりがあるのだ。ニッチ企業であっても大成功と小成功があってもおかしくはないはず。
 ニッチ企業で大成功した社長が、『宝くじのように難しいので、後輩の人が参入するのはお止しなさい』と説明するのも一理ある。だが、難しさがあっても中小零細企業が下請けや将来性の無い現状を脱却するには、何らかの行動を起こさなければ解決できない。その脱出策の一つがニッチ企業を目指すことである、私は力説してきた。宝くじも買わなければ、いつまで経っても当たらない。大成功しないかもしれないが、ニッチ企業を目指さなければいつまで経っても現状のままである。世間から評価を受ければ、2等賞、3等賞かもしれないが、それでも何も行動しないよりは成功に近づくのである。
 失敗を恐れずに、自己資金と現在の能力を活用し、できる範囲からニッチ企業を目指さなければ何も変わらないのではなかろうか。
2005年3月8日

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2005年03月06日

●取材先の最終審査

見本市で見つけたニッチ企業であっても取材対象にはならない。
編集部と協議してから、取材先が最終的に決められた。

 見本市でニッチ企業を見つける方法は前回説明した。しかし、これで直ぐに企業取材をするのではない。月刊誌『φ』の編集部と協議し、取材するための最終的な判断をしなければならない。私が見つけてきた企業名により、編集部では帝国データーバンクによる信用調査の情報を入手する。帝国データーバンクの信用調査報告書では、依頼された企業の業績、社長の個人的な性格、今後の見通しなどが事細かく記載されている。この報告書と私が入手したカタログなどの資料を比較し、取材するかどうかの検討をするのである。
 商品の実物やカタログなどで判断すると非常に優れた隙間商品を製造している企業であっても、社長の経営手腕が悪いために赤字続きの企業もある。ニッチ企業の取材であっては、これから健全な中小企業を運営していきたい読者の見本となるような企業でなければ取材に値しない。私の取材では、商品製造の技術力を評価するのではなく、企業全体を通して中小企業のあり方を考えさせるのが目的である。赤字会社であっては取材先としては不適当であるため除外される。このような企業は、技術者が興した中小企業に多く見かけられるパターンである。社長が開発技術力を過信し、最高の性能をもつ商品を開発したのだが、市場とマッチングしないので売れ行きが悪いのである。社長は技術の研究と同時に経営の研究もしなければならないのである。
 編集部との打ち合わせで、私が見つけてきたニッチ企業の中からさらに絞られて取材先が決められる。私が見つけてきたニッチ企業の内で3社に1社程度の割合で、取材先が最終的に決められた。
 最終的に取材先が決められると、編集部から取材先の企業に向けて取材協力の手紙が発信される。丁重に取材の目的、雑誌の性格などを記載した手紙が見本誌と共に送られるのである。これで取材先企業が了解すれば取材開始となり、私がニッチ企業に出向いて社長を取材することになる。
 この流れのようにして取材がすんなりと進めば別に問題はないのだが、中には取材を断ってくる企業もある。何社かは取材を断られた。それらのニッチ企業は、『わが社の商品は特に問題もなく売れている。貴誌に取り上げられて宣伝してもらう必要はない』というのが共通した断り文句であった。それはそうであろう、商品が売れなくて困っている訳けでもなく、特定の業界では十分な知名度があって業績は優良なのである。寝た子を起こすようにしてまでして、社会に知られる必要もないのである。取材を断られた数社は、内部留保も高く、トヨタ自動車と同じくらいに超優良企業もあった。
 しかし、こんなへそ曲がりなニッチ企業は少数派である。大半の中小企業では大歓迎であった。それまで会社を経営してきたが、雑誌に取り上げられるのは始めてである。しかも、ヨタ雑誌ではなく天下の富士総合研究所が発行するまともな雑誌なのである。社長の経営実績が勲章のように評価されたようなものである。こんな絶好の申し込みを断る中小零細企業主はまずないと考えた方がよいであろう。
 長崎県で零細企業を細々と運営してきた七十歳を越える老社長は、私の取材訪問を大歓迎してくれた。老社長の長年の悲願は、自社開発の商品を販売することであった。若い時からの壮大な夢が老年になってやっと実現し、その実績が活字となって評価されるのである。地方で悪戦苦闘してきた成果が発表されるのだから、感激しない訳にはいかないであろう。これは社長業をしてきた者でしか判らない感動であろう。
2005年3月6日

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●取材先の発見方法

取材先であるニッチ企業は見本市で見つけた。
ニッチ企業を見つけるのは効率の悪い作業であった。

 見本市でニッチ企業を見つける手順について説明しよう。これは私が試行錯誤しながら考えた、最短時間で最適のニッチ企業を見つける方法である。他の人でも応用できるかどうか判らないが、多分ソックリは真似できないと思う。それは商品を見極めるための基礎知識や目的意識が異なるからである。もし、私と同じような行動をされる人がお見えになるのであれば、その人独自の調査方法を編み出されるのが最良かと提言します。
 ********
 見本市の会場では、入口前にある来場者登録所で入場者カードを提出し、入場許可プレートを貰う。入場許可プレートには氏名、社名などが記載され、これを首から下げて入場する。このプレートさえあれば、一日会場に出入りすることができる。ここまでは通常の来場者と同じである。
 会場に入ったならば、場内の配置図を眺めてどのような順路で歩くかを検討する。広い会場は掘っ建て小屋のようなブースがあちこちに並べられていて、あたかも長屋のような配置になっている。4、5社のブースが一つの長屋となっていて(業界ではこれを『島』と呼んでいる)、長屋が等間隔に配置されている。上から見ると、あたかも京都の市街地のような区画割りなのであるが、必ずしも正確に区画割りされているのではない。所々には邪魔な設備があったり、直進できない配置となっていることがある。まず、配置図を眺めながらどの順路で歩くと、最短距離を歩いて数多くのブースを見学できるかを判断する。つまり、一筆書きのようにして全体の出展者と出会えることの順路を考える。
 頭に想定した順路で場内を歩き、各ブースに並べられた商品や見本を眺めていく。そのなかで、テレビや新聞などで広告されているような周知の企業の前は素通りする。著名な企業では隙間商品を製造していることはないからだ。ブースの中に、今まで見たことの無いような商品や珍しい商品が並べられているのを見つけたなら、少し離れた位置でそれを観察する。数秒眺めていると、その商品が隙間商品であるかどうか大体判別できる(判別できるまでに1年以上の修行が必要だが)。取材できるような商品であるならば、ブースに入っり、手に取ってじっくりと眺めてみる。ブースにいる係員は商談のために待機しているのであり、商品を勝手に触ろうが持とうが文句は絶対に言わない。むしろ、商品に関心を持ってくれたことに感謝しているはずである。商品について疑問があれば、ドンドン係員に質問してみる。年間生産台数、売上高、市場占有率など、聞き出したいことは尋ねてみる。回答の感触で、それが隙間商品としての価値が認められるのであれば、やんわりと会社の内情を探ってみる。創業年数、社員数、支店数などである。小さな会社では、社長や専務あたりが率先してブースに待機していることが多いため、かなり突っ込んだ質問でも受け答えしてくれるため、期待しているような情報を得られる。こうして、商品を観察した判断と説明員からの企業情報の二つから、取材するに相応しい企業であるかどうかを判断する。取材の見込みが立ったなら、カタログなどの紙資料はなるべく多くを頂いてくる。
 見本市の場内を回りながら、このような手順を繰り返すことで取材先を見つけることができる。しかし、見本市に出展している企業であっても、全ての企業が取材対象となるのではない。前回に説明した条件に該当する企業でなければ取材先とはならない。今までの私の体験からすれば、二、三百社が出展している見本市で、取材先になりそうな企業は1、2社であった。数百社が出展している見本市であっても、全く取材先が見つからないこともあり、これは運によらなければならない。
 このように、足で歩いて実際に見本市に出掛け、取材先を見つけるのは原始的な方法である。運良く会場で取材先を見つけることができれば良いが、運悪く見つけることができなかった場合は一日が全て無駄になってしまう。マスコミとしては一番効率の悪い取材先の探し方なのである。この効率の悪い方法を実際に行ったのが私であった。
2005年3月6日

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2005年03月02日

●いつものキツネうどん

いつも食べてるビッグサイトのキツネうどん。
うどん屋の兄ちゃんにはいつもお世話になってます。

 『東京ビッグサイト』には数万人が来場しても対応できるだけの食堂、レストランが開業している。しかし、いずれの店も高くて不味く、しかも値段が高いという致命傷がある。施設の賃料が高いので、料理の値段に反映するのは仕方がないが、もう少し品数を増やして、美味い食事を提供してくれないだろうか。『早い、安い、美味い』の吉野屋が出店してくれると有り難いのだが。
 私がいつも利用しているうどん屋である。ここでキツネうどんを食べるのが習慣となっている。ビッグサイトで開業している食堂の中で、これが一番安いからである。
 いつもお世話になっているうどん屋の兄ちゃんと一緒にキツネうどんを写してみた。私が毎週のようにこのうどん屋を訪れるので、ある時にこの兄ちゃんから、『おたくの職業は何ですか』と聞かれたことがあった。通常、特定の業界の人が見本市に出掛けるのは、年に1回か2回程度である。どんな見本市にもでかける人はまずいないはずである。この兄ちゃんが私の目的と職業を知らないため、あしげく通う私を不審に思ったのであった。馴染みになったので、私がキツネうどんを頼むと、兄ちゃんはうどんに入れるネギを3倍くらい多く入れてくれる。
平成17年3月2日

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●東京ビッグサイト

私が一番通った見本市会場です。
地方の人には珍しいかもしれません。

 私が一番通った見本市会場の『東京ビッグサイト』です。見本市が開催されると、雪国まいたけの形をした建物を目指して歩いていった。冬は東京湾からの寒風が吹きさらし、夏はコンクリートからの反射熱で焼けるようであった。もう少し来場者のために気持ち良い雰囲気にしてもらえないかと感じている。
なお、この建物は会議棟であり、商品などを展示する展示棟はこの建物の裏側に位置する西館と、写真左手に続く東館に分けられる。巨大な展示敷設であるが、世界的な見本市会場に比べると遙に小さい。この建物を建設するとき、十年後、二十年後のことを考えてもっと大きくしておくべきではなかったか。
平成17年3月2日

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2005年03月01日

●見本市会場での疲れ

見本市会場は広大であり、歩くだけである。
コンクリートの床は疲れがたまりやすかった。

 見本市でニッチ企業を見つけることになったのだが、これは難行苦行であった。
 見本市の会場にまで出掛けるのが一仕事である。往復の交通機関で多くの時間が費やされる。見本市は平日に開催されていることが殆どで、一日の仕事を休んで見学することになる。事務所にいて仕事をすればそれなりの収入になるはずであるが、その仕事を中止してニッチ企業を見つける作業に振り変えるのである。しかも、これは取材対象となるニッチ企業を『見つけるだけ』の作業であり、原稿作成とは別のものであり、全く収入にはならない。しかも、この見本市には年間30回程出掛けたので、30日分の私の仕事を放棄していたことになる。ニッチ企業を見つける作業を開始してからは、私の収入はみるみる落ち込み、年収四百万円以下に落ち込んでしまった。それまでの蓄えを取り崩し、連載が終わるまでの間は辛抱の連続であった。
 次に、見本市会場に入場してからは、会場内の出展者のブースの全てを見て回ることになる。テニスコートなら数面が入りそうな巨大な体育館のような会場は細かく区切られ、左右前後3メートル程度のブースが設営されている。これらを片っ端から見て回るのである。小さな見本市でも数十社の出展者があり、ギフトショーのような巨大な見本市では出展者が二千以上にもなる。これらを丹念に見て歩くとなれば、巨大の会場を縦横に数回は往復しなければならない。午前10時頃から午後5時頃まで、昼食の30分を除いて歩きっぱなし、立ちっぱなしである。万歩計をつけて測定してみたら、1万二千歩以上になった。この程度の歩数ならば、芝生や砂利道のような柔らかい面を歩くのであればそれほどの負担にはならない。だが、見本市会場の床は厚いコンクリートに覆われていて、歩くことが辛い。特に冬場の寒い時期では、コンクリートの床から寒さが伝わるので足元が痛くなる。こうして、会場内を一日歩くだけで、足の関節がガクガクとなるような疲れが溜まった。それでも、見本市で目指すニッチ企業を見つけられたときはまだ幸せである。見本市で一日を費やしたが、取材できるような企業と出会わないときもある。そんな時の帰路の車内では、身体の疲れに加えて精神的に滅入ってしまい、ガッカリすることもあった。
2005年3月1日

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●見本市でニッチ企業を探す

連載が決まったので、まずは取材先を見つけることになった。
ニッチ企業が集まりそうな見本市にでかけることにした。
この件は拙著「大商談」に詳しく書いたのでご参考にしてください。

 雑誌に原稿を掲載することは決まったが、取材先を見つけなければならない。隙間商品を製造しているニッチ企業である。一般には知られていない隙間商品を製造している中小零細企業を見つけるためには、どのような方法があるだろうか。新聞、雑誌などでは広告されていることは少ない。業界紙、専門誌には広告が掲載されていることもあるが、業界紙は数千種類あるといわれる。一つ一つをつぶさに読んでいたのではきりがない。また、インターネットなどでも検索できるような企業ではなさそうである。
 あれこれと取材先を見つける方法を考えていたら、ニッチ企業と出会うことができる方法があることに気がついた。『見本市に行ってニッチ企業を見つけよう』というものだった。見本市では規模の大小を問わずに、各種に企業が参加している。ここでは見本の商品を出品しているため商品の実物を手に取って観察でき、出展者から直接説明を受けることができる。中小企業が出店しているブースでは、その企業の社長自身が待機しているため、企業の経歴や業績などを聞き込むこともできる。社長と会話しながら、社長自身の人間性も観察することができる。私が決めた条件に適合する取材先を見つけるには、まさに理想的なものである。
 こうして、雑誌に連載する半年前から見本市にでかけ、取材先を探し出す作業が始まった。しかし、これは大変な作業であった。
 東京付近で見本市を開催している施設は、東京ビッグサイト(江東区青梅)、幕張メッセ(千葉市)、パシフィコ横浜(横浜市)などがある。この他にも小さな施設で細々と開催している見本市も数多くみられる。各施設から発行される見本市の予定表を眺めながら、私の取材目的に適合したニッチ企業が出展していそうな見本市を選んで見学に行くことにした。まず、各見本市会場から発行されている予定表を入手するのだが、これが結構手間であった。その施設にまで出掛けなければ入手できず、うっかりするとその月の予定表を入手するのを忘れてしまうこともあった。
 さて、東京付近に存在する数多くの見本市会場の中で、東京ビッグサイトは年間開催回数が一番多い施設である。国内で開催される見本市の80%はビッグサイトではないかと推測される。これは東京駅から一番近いことで、ビジネスマンが通いやすいからである。他の理由として、東京ディズニーランドに近いことがあげられる。地方都市から見本市を目当てに上京した家族連れでは、一日を見本市会場で過ごし、次の日を家族全員でディズニーランドで遊ぶことができるからであろう。小さな施設で開催されている見本市も面白い内容のものがあり、棺桶の見本市やラブホテルの見本市は大きな施設では開催されていなかった。
 私はあちこちの見本市会場に出掛けたが、結局のところ、一番多く通ったのは見本市開催回数が多い東京ビッグサイトであった。平成10年頃では、新宿からビッグサイトへの交通の便は極めて悪く、東京駅からバスで出掛けるか、新橋からゆりかもめで出掛けるか、浜松町からバスででかけるかの方法しかなかった。新交通機関の『ゆりかもめ』は比較的気持ち良く移動できるが、切符代が馬鹿高かった。一番安い方法は浜松町からのバス便であった。新宿から浜松町まで山手線に乗り、浜松町からビッグサイトまでバスに乗ると1時間20分以上もかかった。現在は、JR埼京線直通の『りんかい線』が開通し、新宿からは30分程度で到着できるようになり、便利になった。当時は朝10頃に新宿を出発し、見本市が終わってから新宿に戻ると夕6時過ぎになり、都内を小旅行するようなものであった。
2005年3月1日

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