2005年02月08日
●オンボロ会社の内情
不思議な会社の内情はこんなことだった
会社は概観ではない
それからも、その会社との付き合いは続いたが、老社長は用心深い性格なのか会社の内情を全く説明してくれることは無かった。二年も顔を合わせていて、私の気心が知れるようになると本音に近い話もしてくれるようになってきた。ある日、老社長は、『去年の年末は大変だったよ。』と、変なことを言い始めた。続いて、『昨年は会社の黒字を隠すために苦労したんだ。不要な消耗品などを大量に買い込み、何とか帳簿を赤字に落とし込んだよ。』と話を続けたのだった。
通常、どこの零細企業の社長でも『年末は、資金繰りをつけるのが苦しかった』と言うはずなのだが、この老社長は逆の話をしたのだった。このオンボロ会社は年末になって運転資金を導入するのに苦労したのではなく、黒字を隠すのに困っていたのだった。この会社では、毎年の決算をほんの少しだけ赤字として帳簿を工作していたのだった。本来は収益が出ていて黒字になるはずなのだが、チョッピリだけ赤字として法人税を払うのを逃れていたのだった。
それから話が続き、『特許出願の費用は、必要経費として帳簿で処理するのに全く都合の良いものだ。』と述べられた。私にアメリカへの特許出願を依頼したのは、黒字を隠すための節税対策のためだった。特許出願にかかる費用は研究開発費の一部であり、全額年度内に一括して償却することができる。同時に、外国特許出願の費用は金額が大きいため、黒字隠しには好都合である。この説明で、私に高額なアメリカへの出願を依頼した理由が判ったのだった。
老社長の経営する零細会社は、建物は見すぼらしいのだが、それは世を忍ぶ仮の姿であった。経営内容は毎年黒字を隠さなければならない程、頭に『超』がつく優良企業であったのだ。
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